招聘教員による特別講義「グローバル食品としてのチョコレート」

コース名:「グローバル食品としてのチョコレート」
招聘講師:エマ・ロバートソン教授(ラ・トローブ大学、オーストラリア)
実施期間:2015年9月9〜18日

「チョコレートは殊のほか象徴的なコモディティ(商品)であり、グローバルな一大産業なのです。」と語るロバートソン教授。そのように皆が愛するチョコレートは社会・経済・政治における出来事と一見無縁のようですが、実は深く関わっているのです。そんなチョコレートについて、私たちはどれだけ知っているのでしょうか。

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2015年9月9日から18日にかけて、AIU特別招へい講義プログラムで、「グローバル食品としてのチョコレート」と題された特別講義が開講されました。講師には、ラ・トローブ大学(オーストラリア)人文社会科学部歴史人類学科のエマ・ロバートソン先生をお招きしました。ロバートソン教授は、特に女性やジェンダー、そして大英帝国といった分野を専門とする社会史・文化史学者です。これまでコモディティの労働史について研究されてきたほか、現在はBBCワールドサービスラジオの歴史についての本を執筆されています。ラ・トローブ大学では、食物史、グローバル・マイグレーション史話、20世紀のイギリス史などを教えていらっしゃいます。

本講義では、チョコレートの歴史や人間社会・文化が、多元的側面から紹介されました。最初に、チョコレートの歴史的・地理的な起源、コロンブス交換(中央アメリカとヨーロッパの貿易)、そしてチョコレートが産業化された経緯についてディスカッションを行いました。その後、カカオ農業と植民地主義(ポストコロニアリズム)、つまり、西洋諸国が植民地で栽培される安価なカカオにいかに依存していったか、またその過程で奴隷制度がどのように進行したかに議題を移しました。さらに、「庭園工場(garden factories)」を作り上げたキャドバリー、ロウンツリー、ハーシーといった主要なチョコレートメーカーの影響力について考察し、最後はチョコレートのマーケティングやジェンダー・ポリティクスの講義で幕を閉じました。

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講義は、課題発表、レクチャー、グループワークの組み合わせで行われました。ロバートソン先生は講義全体を振り返り、「チョコレートというトピックに勉強意欲が駆り立てられたのか、AIU生はディスカッションに盛んに加わってくれました。」と仰っていました。学生たちは、1950年代に書かれた記事を読むといった高い読解力を要する課題もうまくこなしていたそうです。学生からは「この講義を受けて、食べ物の知識や味、食文化までもがマーケティングや経営手法にいかに左右されているのかを理解することができました。」というコメントがあったほか、「マーケティングや広告の研究に興味が湧きました。」と語る学生が多く見られました。

ロバートソン先生はAIU滞在中に、ラ・トローブ大学からAIUに留学してきた学生、そしてこれからラ・トローブ大学へ留学する本学学生と交流し、学生たちと両大学についての意見交換をしました。先生は「AIUは地方特有の静かで落ち着いた環境にあり、ラ・トローブを思い出すようで楽しかったです。」と仰っていました。また、本学教職員との交流会では、両大学におけるリベラルアーツ教育のありかたについて意見を交わしましたが、その中で、ラ・トローブ大学の教育の重要な位置を占めるのは同地域の原住民の存在であることなどを話されました。これからも、AIUとラ・トローブ大学の有意義な交流と学びを継続していきたいと思います。

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