秋田市大森山動物園モニターツアー~国際教養大学と大森山動物園の連携企画「国際教養大学留学生と秋田の動物園を語る」~

アジア地域研究連携機構

特任教授 竹村豊

【はじめに】

かねてより、ユニークな展示や来訪者と動物の触れ合いを大切に運営されてきて、年間に秋田市の人口を上回る入園者を惹きつけてきた秋田市大森山動物園(小松守園長)と国際教養大学・アジア地域研究連携機構(熊谷嘉隆教授・機構長)が連携し、本学外国人留学生が感じた大森山動物園の印象を語り、出身各国の動物園体験と照らして秋田の動物園像について小松園長始め動物園スタッフと語り合う機会を設けました。2回に亘るツアー、ディスカッションにより、動物園の更なる魅力向上を考える機会となり、メディアを通じて対外発信の一助になったのであれば、大変うれしいことです。ここでは2017年6月18日に行われた第2回のツアー、ディスカッションを中心に写真と共にお伝えします。

第1回目のツアー・ディスカッションは昨年11月13日に北米、アジア、ヨーロッパから6名の留学生が参加し実施され、忌憚のない意見交換ができ、更に2回目で秋田ならではの「雪の動物園」で秋田の動物園の特徴を際立たせる予定であったが1回目直後の「鳥インフルエンザ問題」で延期となり、2017年6月になり実施されたものです。

【園内ツアー】

園内を小松園長に案内頂き、イヌワシの保護・繁殖では日本有数の実績を誇る大森山で動物園の使命である「種の保存」(Conservation)について考え、同時に来園者への教育(Education)の意義を考えました。留学生はプレーリードッグの生まれたばかりの赤ちゃんと触れ合い、カンガルーやキリンへの餌やりも体験しました。動物園では「動物との交流」による来園者のレクリエーション(Recreation)も大切です。又、動物園スタッフによる不断の調査・研究(Research)の重要性は謂うまでもありません。

外国人留学生はこれらのことを学びつつ、自国での動物園体験に照らして「秋田の動物園」について語り、動物園側からも真摯にお答え頂きました。

大森山動物園で育てられたイヌワシとの交流の写真

大森山動物園で育てられたイヌワシとの交流の様子

【留学生 vs動物園】

「大森山動物園は動物と来園者との距離が近い、母国の動物園と比べてもとても開放的である」といい、動物園側は「動物は人間の言葉が分からないが、分からないものを超えて相手を感じることができる」「『動物と語らう森』とのコンセプトで動物に寄り添うものを目指したい」。留学生は「地元に関わりの深い動物に関し、地域と動物との関わり、ストーリーが聴けると嬉しい」に対し、「大規模な動物園では『種の保存』とか地球規模の問題意識が高いが、大森山で何故イヌワシの保護・繁殖かは地域の動物という考え方からである。」「動物の繁殖については、動物園間で個体の交流・交換により進めているが、知能の高い動物はマッチングが難しい。」「(動物園スタッフは)大森山にいる100種類の動物の命を繋ぐためマッチメーカーでもある。」

留学生の「見たところ、来園者の年齢層が低く、家族連れが殆どであるがもっと幅広い年齢層が楽しめるようにしてはどうか」に対しては「少子化が進んでいるので大人が楽しめる動物園というのは大事な観点、ジャズコンサートとかビアガーデンとかは実施したことはある」。

「サンフランシスコの動物園では園長が私達にしてくれたような説明が一般の観客向けのガイドがある。」「米国では動物園とその地域の学校との交流が活発であるが大森山ではどうか。」動物園側は「大森山動物園でも地域の小学校との交流を行っているが更に進めたいと考えている。」

「大森山動物園の外国人への英語でのPRは皆無で、今回の留学生公募があるまで存在すら知らなかった。動物園の英語広告を出すべきではないか。」「AIUの学生・留学生にはYouTuberが多くいるので、彼らに大森山動物園を英語で発信してもらう方法がある。」

【大森山動物園と秋田犬】

「動物園にとり、野生動物とは異なるが国際的ブランドである秋田犬との関わりをどう持つか」に対し、「秋田犬は犬という動物と文化遺産の保全と考え、関心は高い。但し、犬は飼い主との間で主従関係が必要であり、一生飼い続けていくという動物園側の覚悟と準備が必要となる。動物園では以前、秋田犬との触れあいイベントを実施し好評であった。扱いたいが仕組みが難しいので検討していく。」「(獣医の視点から)犬は特別な動物である。家族と同じ扱いで展示という言葉はそぐわない。触れたくなる「触れ合い動物園」で取り上げた場合はリスク管理が問題になる。」

前列:留学生7名と右端が小松守園長、後列:コハン先生夫妻、千葉先生、平田先生

前列に留学生7名と右端が小松守園長、後列:コハン先生夫妻、千葉先生、平田先生

【むすびに】

上記のディスカッションは動物園ツアーに基づく外国人留学生と動物園とのやり取りの一部ですが、

*国際教養大学の留学生・学生にとっても大森山動物園との交流は地域の魅力や課題を考える上で示唆を与えてくれる。

*インバウンド観光の振興を考える上で直接的なアドバイスやアイデアが得られる。

*母国の動物園と秋田の動物園のコンセプトの違いから、異文化への理解の糸口になるかもしれない。

秋田市大森山動物園とは今後も2回に亘る動物園ツアーとディスカッションで語られた提言やことを勘案しつつ、連携協力しながら少しずつでも前に進めたい。

7名の留学生と秋田の動物園を語る写真

7名の留学生と秋田の動物園を語る様子

 

7名の留学生と秋田の動物園を語る様子

7名の留学生と秋田の動物園を語る様子