PBLを終えて~秋葉丈志准教授寄稿~

今回のPBLは、私(秋葉)と、私が大学院へ通ったカリフォルニア大学バークレー校の山中啓子先生が、ともに秋田におけるフィリピン出身の移住女性コミュニティに強い関心を抱いたことに端を発している。私は当初秋田へ赴任した時、こうした移民コミュニティがあるとは想像もしていなかった。移民研究の実績の豊富な山中先生も秋田のことは聞いたことがなかったようである。それもそのはず、秋田の移民コミュニティについての研究はこれまでほとんどなされていないし、ましてや英語での発信は皆無であった。

PBLは、この担当教員自身の関心の追究と、斬新な授業形式、学生の国際理解、そして国際的なチームワークの体験を一度に実現することのできる大変貴重な機会だった。両国から集まった学生もまた、親あるいは自身が移民であったり、何らかのバックグラウンドを持つ学生が多く、それだけテーマに対して独自のこだわりを持っていた。自身がアイデンティティに悩み、言語や文化継承、親子の世代間関係などに関心を持っている。それゆえに、訪問先でも熱心な質問が相次ぎ、時には感情も露わに意見交換をする場面もあった。

国際教養大学協働教育推進プロジェクト

UC-Berkeleyにて(写真中央が秋葉准教授)

また、11名の学生の強い個性は時に対立やすれ違いも生んだが、全員が基本的に問題に対して真摯に向き合い、人と折り合いを付けようとするマインドセットだったことが功を奏して、非常に強い連帯意識、仲間意識も育まれた。こんな密度の濃い、思い出深い学びの体験は滅多にないことだろう。

担当教員としても、移住女性コミュニティについての知見をさらに得られたほか、PBLという教育の手法についても経験が得られ、教育と研究の両面で今後の糧となった。また、授業の一環として、自身の思い出の地であるカリフォルニアへ秋田から学生を連れて行き、カリフォルニアの学生を秋田へ連れて来られたことは、感慨深い。

今回、こうした機会を得られたことを大変ありがたく思っているし、今後も今回築かれた人的なネットワークや、教員・事務スタッフの経験を生かして、同様のプログラムを継続的に実施することができればと願っている。