日米協働課題解決型プロジェクト科目とは

「PBL」で君の未来を広げよう。

さらなる鍛えの場が、ここにある!

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

グローバル化が進んだ現代社会では、全てが急激に変化しています。その変化に的確に対応するために、社会は「課題を発見できる人材」、「課題の本質を見抜く人材」、そして「課題を解決できる人材」を求めています。自ら調べ、考え、そして行動する「課題解決型の人材」になるためには、講義で多様な理論・概念等を学んだうえで、それらを統合的に実社会で応用するための訓練が必要です。

さらに、グローバル社会で活躍するには、英語をはじめとする外国語でコミュニケーションをとりながら、多様なバックグランドを持つ人々と協働で課題を解決する弾力性も必要です。AIUでは講義スタイルの授業だけではなく、学生が能動的に学習するアクティブ・ラーニングを推奨しており、2012年度から新たに PBL科目を開講しています。AIUのPBLでは、外国人学生と一緒に、地域が抱える課題について学び、議論し、そしてその課題に対する皆さんなりの「解」を探し出す実践的機会を提供します。

大学の世界展開力強化事業 事業推進責任者 熊谷 嘉隆 教授

PBL(Project-Based Learning)とは何か?

PBL(Project-Based Learning:課題解決型学習)は、実社会で必要とされる力を育成するために有効な教育手法で、1970年代にカナダのマックマスター大学の医学部で導入されました。その後、北欧や米国、韓国などをはじめ、多くの工学、自然科学、教養教育の分野に広がり、近年では日本でも採用されるようになりました。従来の講義型の授業とは違い、PBLでは学生が少人数のグループに分かれて、実社会に存在する具体的な課題に取り組みます。その過程で、課題の解決にむかって主体的に学習を進めることで、実社会において指導力を発揮するための実践的な能力——課題解決能力、プレゼンテーション能力、論理的思考能力など——を身につけることが期待できるのです。

また、PBLは課題をより深く理解する手助けをします。ベイストン博士による学習定着率の研究によると、講義や読書だけでなく、「実際に行動してみること」「議論すること」「他人へ説明すること」により、学習内容をより深く理解し記憶することができるのです。そのためPBLでは、みなさんに「自ら調査し」「議論を行い」「調査や議論の内容をプレゼンテーションする」という機会を積極的に提供します。これにより、取り組んだ課題についてより深く理解し、記憶することが期待できるのです。PBLの少人数教育は、みなさんのコミュニケーションスキルを向上させ、人間性を研磨し、チームワーク力を強化することでしょう。

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

AIU のPBL 科目 具体的な流れと特徴

STEP1 グループを作る

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AIU生と留学生が少人数のグループを作ります。学生は多様な意見や価値観が存在する環境でプロジェクトを進めます。

STEP2 調査課題の決定

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教員のサポートを受けながら、学生が調査課題を決定します。

STEP3 自分たちで調査

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グループの仲間と協力しながら情報収集を行います。日本でのフィールドリサーチでは、AIU生に通訳の役割も期待されます。

STEP4 自分たちなりの解を探る

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グループの仲間とディスカッションを重ねて、課題に対する自分たちの考え・提案をまとめます。

STEP5 そして発表!

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調査に協力して下さった地域のみなさんに、各グループの調査結果・提案を発表します。

AIU-PBL「3」つの特徴とは?

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AIUのPBL科目 スケジュール例

AIUのPBLは留学とセット、もしくは学内のみで実施するPBLの両方のパターンがあります。また、留学とセットのPBLもいくつかの類型がありますので以下、簡単に説明します。

タイプ1(1年間の留学でPBL)

タイプ1(1年間の留学でPBL)は、通常の留学期間中にPBL科目の準備を行います。全留学日程が終わったあと(クォーター制の場合は留学の一部として)、引き続き夏休み中にその大学に残りPBL科目をスタートするプランです。米国でのPBLが終わったあとは日本へ移動し、残りのPBLを行います。

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

タイプ2(短期留学でPBL)

タイプ2(短期留学でPBL)は、留学終了生または現在留学中の学生対象のプランです。留学終了生は、もう一度アメリカで短期留学を行うチャンスです。また、現在留学中の学生は、留学期間中の夏休みに別の大学で科目履修するチャンスを得られます。

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

タイプ3(学内でPBL)

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タイプ3(学内でPBL)は、留学を伴わず学内だけで完結するプランです。AIUに留学中の学生とともに、1学期間PBL科目を受講します。

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※各プランにより条件が異なる場合があるので、詳しくは募集要項などで確認してください。

どんな課題に取り組むの?「地域」×「8」つのトピック

地域環境史 タイプ3

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AIU生と留学生がチームを組んで、秋田市雄和新波地区の地域環境史を作成します。学生は新波地区の方々への聞き取りや意見交換を通して、農山村での人と自然の関わりの変化を学びます。

堤防設置によって数年以内に土地回収や住民移転を予定している新波地区の方々からは「住民も改めて地域の歴史や良さを振り返ることができ、よい刺激になる」という声を頂いており、学生には「これからの新波地区」についての提案も期待されます。

INT231: 地域環境論

防災 タイプ1(ユタ大学)

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日米両国における、災害と危機管理体制を学習します。ユタ州ソルトレイクシティ、秋田県由利本荘市は、類似した自然災害に見舞われる可能性がある地域です。この2市を対象に、災害に対する行政と地域集落の備えを比較します。

行政機関や地区自治会を訪問し、連絡・連携体制の敷き方、減災や避難・救助についての聞き取り調査を行い、災害発生から収束まで、一連の理想的な対応計画を考案します。

GSP391: 災害と危機管理

高齢化社会 タイプ1(ディキンソン・カレッジ)

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ともに高齢化の波に直面している日米の地域社会で、よりよい高齢者福祉の提供に必要な要素とは何かを調査し、共通点や相違点を探っていきます。

ペンシルバニア州カーライル、秋田県由利本荘市を対象に、行政、福祉政策専門家からの情報に加え、現場の生の声も聞きながら、社会、文化、経済面から分析します。授業の最後には、効果的な政策、実行プランを学生の視点から発表します。

GSP392: 地域コミュニティと高齢化対策

移民 タイプ2(カリフォルニア大学バークレー校)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

アジア系移民女性とその子どもたちに焦点を当てて、「ジェンダー」「ジェネレーション」「市民権」「移民」等について日米比較を行います。

フィールドリサーチでは、アジア系移民女性とその家族から自身の経験や思いについて聞き取りを行います。そして「地域社会に移民を受け入れ、ともに生活をしていく」とはどういうことなのか、「日本が多文化社会になるためにカギとなる要素は何か」といった課題に取り組みます。

GSP393: 国際結婚移住と家族・地域

小学校英語 タイプ3

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平成23年度より、小学校において年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されました。大都市圏とは異なり、秋田の小学生にとってはALT(外国語指導助手)と学ぶ英語の授業が、数少ない外国語・外国文化に親しむ機会です。

児童の国際的な視野を育成する上で、日本人教師とALTとがお互いの教育観や強みをいかに理解し相互に連携していくべきか、日本人学生と留学生とがペアになり、実際に模擬授業を体験しながらその可能性について考えます。

JAS331: 小学校英語教育

民俗芸能 タイプ3

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

秋田市雄和のヤマハゲをはじめ、秋田県内および隣県の民俗芸能を視察し、民俗芸能の継承問題について学びます。

伝統行事に従事する住民たちにとって、その伝統行事の意味するところは何か、現状と将来像についてどう考えているのかなどを調査し、宗教、風習、社会情勢の変化といった様々な視点から、外部者としての学生の立場で見る、伝統行事の価値、可能性について考えていきます。

JAS231: 民俗芸能の継承問題

ツーリズム タイプ2(サンフランシスコ州立大学)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

カリフォルニア州と北東北をフィールドに、観光マーケティングを学びます。米国ではマーケティング、ブランディングの理論を勉強します。同時にApple、Google、博物館やナパバレーのワイン醸造所等でフィールドリサーチを通じて、世界的な企業や観光業でどのようにマーケティングが実践されているかを学びます。

日本では酒蔵、祭り等を見学し、秋田市の竿燈まつりを中心に、「観光のマーケティングとブランディング」に関する課題に取り組みます。

ECN376: ツーリズムにおけるマーケティングとブランディング

集落活性化 タイプ1(オレゴン州立大学機構)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

共に過疎地域を抱えるオレゴン州ワラワ郡と秋田県由利本荘市でフィールド調査を行い、過疎地域の活性化について考えます。

何が地域の衰退を招いているのか、地域で今何が起きているのか、現状を打破する可能性があるのかといった問いに、社会、経済、教育など様々な切り口から問題解決の糸口を探っていきます。また、過疎地域の問題は特定の国・地域のものなのか、あるいは日米の国境を越えて共通する課題なのかについても考えます。

GSP376: 過疎地域の活性化

先輩達の声

  1. PBL を選んだ理由
  2. そのPBL に期待するもの、抱負
高橋 朋実(7期生:オレゴン州立大学)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

  1. 秋田で生まれ、秋田で育った私にとって「過疎地域の問題」は切っても切れないものでした。何かしたい、しかし自分に何ができるかがわからない。そうしたジレンマに陥っていた矢先、「過疎地域の活性化」をテーマにしたPBLの話を聞きました。国際教養大学で学んだ「比較思考」、「批判的思考」を用いてこの問題に向き合うことができると思い、プロジェクトに参加することを決めました。
  2. PBLを通して、「過疎地域の活性化」の問題を考えるのはもちろん、複眼的分析力・調整力そしてリーダーシップ力を身につけたいです。
矢野 圭祐(8期生:ディキンソン・カレッジ)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

  1. 直感です(笑)留学説明会で熊谷教授より話を聞くまでは、PBLに参加することなど全く考えていませんでした。ただ、ディキンソン・カレッジのPBLに参加することが、今の自分に一番合った留学だと感じました。
  2. 一般に留学というと自己成長のために行うものですが、自分が学んだ成果を地域に還元できるということが、このPBLの一番の良さではないでしょうか。PBL=自己成長+地域活性化です。また、留学最後の夏休み2ヶ月間、教授や米国の学生と寝食を共にして、お互いの地域や国の未来を考える機会というのはめったにないとも思います。自分のため、また秋田のために全力でPBLに取り組みます!
阿部 美里(8期生:オレゴン州立大学)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

  1. 私は今夏、オレゴン州立大学と本学が協働で行う「日米協働プロジェクト」に参加します。私がこのプロジェクトに参加した動機は、まず本学の地域環境研究センター(CRESI)で秋田県由利本荘市の活性化事業に携わっており、地域開発について強い興味があったこと、さらに将来のキャリアにおいて過疎化などの問題を抱える私の故郷の活性化に携わりたいと考えているので、そのための知識や技能を身に付けたいという思いがあったことです。
  2. このプログラムでの実践的な調査研究を通して、将来に活かせる問題解決能力を養ってきたいと思います。
酒井 大介(8期生:学内PBL 伝統芸能保存)

国際教養大学協働教育プロジェクト日米協働課題解決型プロジェクト科目

PBLの活動を通じて机上の学問では見えてこない問題や物事の関係性を自分の目で確かめ、感じることの重要性を痛感しました。PBLは受動的な学習ではなく、自らが考え自らが行動し道を切り開いていくので高い自主性が求められます。さらにPBLでは地域の人々の暮らしに直接的に関わる問題を扱います。それには普段の授業では求められない責任が伴うので、大きく踏み込んだ学習をする事が出来ました。学期中のインテンシブな研究調査、留学生を含む仲間との議論、地域の人々との熱心な交流を通じて、大きく成長する事ができたと思います。

※酒井先輩はPBL既習生なので、PBLを終えての感想。

参考資料

  • 鶴岡 信治「PBL授業の4つのタイプと事例紹介」
  • 中尾 基「PBLを基軸とする工学教育プログラム」
  • 金子 成彦「PBL教育を通じて日本のガラパゴス化を阻止しよう!」
  • 富山工業高等専門学校ウェブサイト
  • 立命館大学ウェブサイト