専門教養教育 グローバル・スタディズ課程

育成する人材像

北米、東アジアおよびトランスナショナル分野について学び、グローバル化の進む今日の国際社会において活躍するために必要な知識と異文化理解、分析力を備えた人材を育成します。

教員からのメッセージ

水野 智仁

Dr. Norihito Mizuno
水野 智仁
グローバル・スタディズ課程長/教授

混沌の世界を生き抜き、雄飛することを目指して。

今日我々は「グローバル化(地球規模化)」と呼ばれる現象の渦中にあります。1990年代以降、冷戦構造は崩壊し世界各地において政治社会変動が生じました。インターネットに代表される科学技術の発達は高度情報化社会の出現を促し、人類社会は、人種や民族、宗教、国籍などを超えた相互交流を広範化かつ深化させつつあります。しかしその一方で、世界各地において、歴史認識や、文化、政治・社会制度の相違、経済状況の差異等に起因する紛争や軋轢が止むことはありません。環境破壊や気候変動、パンデミックといった超地域的・地球規模的問題も深刻さを増しこそすれ減ずることはありません。

まさに、昨今の世界は「混沌」と言っても過言ではない情勢下にあり、我々は、そうしたなか、一個の人間としていかに生きるべきかという問いに直面しているのです。個人が自らの幸福や富貴、立身栄達を追求するのは、ごく自然なことですが、私利私欲の追求のみに専心することを是とするわけにはいきません。渋沢栄一が「社会の一員、国家の-民たる以上、何人も一国一郷に対し我がものであるとの覚悟を持たねばならぬ」と語ったように、我々は、一個人であると同時に、日本人としての確固たる自覚をもち、自国のために何をすべきなのかについても真剣に考えねばなりません。加えて、グローバル化時代の今日、人類社会の一員としての自覚も求められています。

本課程では日本を含めた各国や各地域の歴史、文化、社会、政治、経済をはじめ、多国家間・地域間の関係、国際機関・国際組織の機能と役割、地球規模のさまざまな現象や問題に関する科目を提供することで、世界で活躍し、かつ自国のみならず人類社会に広く貢献できる人材の育成を目指します。

 

特色1 「グローバル」と「ローカル」の双方向の視点

グローバル化の進展に伴い、社会的、文化的、経済的活動にかかわる情報、ヒト、モノ、カネは国や地域といった境界を越えてめぐり、世界中の個人、集団、企業、団体、国家はかつて経験したことがないほどの広範に強い相互依存関係を持つようになってきています。
私たち個人は、インターネットやSNSを用いて、時間と空間の隔たりを超えて様々な情報を容易に受発信しながら、人種、国籍、性別、年齢などに関係なく多面的な交流を深めることができるようになりました。多くの情報を瞬時に得ることが可能となった一方で、膨大な情報の波に翻弄されることなく、目的に合わせて信頼できる情報を見極め活用する能力を持つことが必要不可欠です。
国家にとっては、歴史的経緯、政治体制、経済状況、文化的相違に起因する武力紛争や対立関係、人権、経済格差、地球環境と自然保護、人口増減などの諸問題を地球全体の課題として捉え、国際社会の協働による解決を図ることが求められています。
このような状況にあって、私たちは地球をいわば「運命共同体」と考え、これまでに蓄積した英知を集めて、相互理解と協力によって諸問題の解決に向けて取り組み、限られた資源を有効利用し、より良い未来を築いていかねばなりません。また、個人や集団の持つ多様な価値観を尊重しつつ、「地球に暮らす一員」として、グローバルな視点から様々な問題を十分に検討し、解決策を見つけ出していかねばなりません。GS課程での学修の特色は、グローバルな視点とローカルな視点の双方から国際社会を理解することにあります。

 

特色2 「北米」、「東アジア」、「トランスナショナル」分野

GS課程は、「北米」分野、「東アジア」分野、複数の異なる地域や国々を対象とする「トランスナショナル」分野からなり、学生はそれぞれの興味に沿って分野を選択することができます。また、基盤教育(BE)に引き続き、中上級の第二外国語科目の履修が可能となっており、それぞれの分野の研究と理解を深めるのに役立てることができます。各分野の概要は次のとおりです。

北米分野

北米分野では、アメリカを中心に、カナダ、メキシコなどの北米地域に焦点を当て、地理、文化、歴史、政治、経済、法律や国際関係を広く学修します。

東アジア分野

東アジア分野では、韓国、中国、台湾、シンガポールから、モンゴル、ロシアまでを含めた広域アジア圏を対象に、これらの国々の文化、歴史、政治、経済や国際関係を広く学修します。

トランスナショナル分野

国際機関、EUのような国家連合、NATOなどの地域協力機構、国際連合やその諸機関、国境を越えて機能する組織、国際法、国際協力や開発、安全保障、コミュニケーションやメディアなどの科目履修を通じて、地域協力・紛争解決・民主化支援などのテーマについて掘り下げて研究します。

 

教員紹介

GS_Akiba

Dr. Takeshi AKIBA
秋葉 丈志
アジア地域研究連携機構副機構長/准教授
(ア メリカにおけるマイノリティ、
アメリカ合衆国憲法、
グローバル研究概論ほか 担当)

私は「マイノリティ」について法社会学的な観点で研究しています。アメリカで生まれ育ち、日本とアメリカの間でアイデンティティに悩んでいた大学時代、卒業研究で「日本の国籍法はどうしてこういう形になったんだろう」と問い、自分の悩みと学問的に向き合うことになりました。そして法の成り立ちや機能を社会的政治的な文脈で分析する「法社会学」の道へ進みました。今は、フィリピン人と日本人の間に生まれたジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレンなどに研究の照準を定め、国際的な人の交流が活発化する中で生じる法や制度の問題を、個人・社会・国のあり方といった多角的な視点で考えることを学生に促すようにしています。 

未来のAIU生へのメッセージ
大学に入って何をしますか。どこの国へ行って何を知りたいですか。世界中から集まるクラスメートとどういう話がしたいですか。AIU生は意欲があって、夢に溢れ、努力もし、自分の世界を拓いていく力を持った人の集まりです。素敵なコミュニティの一員として、あなたは何がしたいか考えてください。

学生紹介

GS_Kuramoto

倉本 舜
Shun KURAMOTO
(熊本県/2012年入学)

 本学への志望動機は?
AIUは提携校の幅が広く自分に合った留学先を見つけることができ、また交換留学制度なので留学にかかる費用も安く済みます。中学時代からずっと海外へ出て勉強したかった私にとって、この最高の条件下での1年間の留学はとても魅力的でした。また、生まれ育った熊本とは全く違う環境の中で暮らし、勉強に励み、国内外からAIUに集まった仲間たちから新たな刺激を受けることで、人としての魅力や独自の感性を養うことができると思いました。

特に印象に残っているGSの授業は?
「発展と社会変革」という社会学の授業です。社会学はアメリカへの留学中に一度学んだだけで、初めは興味も薄かったのですが、先生ご自身の豊富な人生経験を織り交ぜた講義は私も含め多くの学生の学修意欲をかき立てました。発展途上国が抱える階級・民族闘争やジェンダーなどの社会的課題をケーススダディを通して学び、様々なバックグラウンドを持ったクラスメイト同士で意見を出し合ったことはAIUでしか味わうことのできない貴重な経験だったと思います。

今までに一番印象に残っている出来事は?
留学先で「Energy & the Environment(エネルギー環境学)」という授業を取りました。その最後の試験を全力で解き終えた後、満面の笑みで教授と握手を交わしたことは今でも鮮明に覚えています。人生で初めて真剣に学びたいと思えた「エネルギー」という分野。授業のレベルが高く、序盤でつまずき、挫折しかけ、それでも諦めず食らい付きました。結果、世界中から集まった学生たちとも互角に張り合えるだけの知識と自信を得ることができました。全力を尽くして学ぶ。そういう体験ができたのも留学先でこの授業に出会えたからです。

自分の成長をどのように感じた?
留学後、同期の学生と話をする機会がよくあったのですが、その会話の質が明らかに留学前と違っていて感動しました。GS・GB課程に関わらず、各自が積み重ねてきた経験や新しく身に付けた専門分野の知識をもとに繰り広げられる会話には奥深さがあり、何より、自らもその輪の中に入って語り合えることは、最高の喜びでもあり自身の成長の証でもありました。「国際教養」大学ならではの成長の感じ方だったと思います。

新入生や高校生に伝えたいこと
世界中から様々な感性を持った同志が集まるAIU。否が応でも感化されます。勉強するのは当たり前、でも勉強だけが全てではありません。寮での共同生活、1年間の留学、そして苦楽を分かち合いながら共に成長して行く仲間たち。あなたが将来、国際社会の舞台で活躍するために必要な土台はここにあります。AIUに入学したら、周囲から常に刺激を受け、なおかつ自分の目指す将来像をしっかり持って大学生活を送ってください。きっと卒業する頃には自分が目指していた以上のものが手に入っているはずです。

 

例えば、こんな科目があります。

SOC 345  アメリカにおけるマイノリティ
多様なマイノリティの存在は、地球規模での人の移動を考える上でどの国にとっても大変重要な課題です。この科目では、米国における人種・民族マイノリティの位置付けと変遷に焦点を当て、それらと密接に関連する社会、政治、経済的な変化、そして移民、市民権といった課題を取り巻く今日の学術的議論について理解を深めます。

SOC 365  中国現代社会
貧富の格差、環境問題、チベット・ウイグルの少数民族問題、尖閣・南沙諸島に代表される領土問題など、中国社会は様々な問題に直面しています。そして、これらの問題には中国共産党による一党政治体制とその政治力学が非常に深く関係しています。この科目では、現代の中国社会が抱える問題について最新の情報をもとに理解することに加え、近年ますます強硬路線に転じる中国外交についても議論します。

PLS 385  社会運動と民主化
インターネットを始めとする情報技術の発達と多様化に伴い、「運動(Movement)」という言葉の意味も変化を続け、地域社会やアイデンティティ、また、国際政治の世界までを広く再構築するようになりました。この科目では、デモを含む集団行動の原理や、政治的背景といった社会運動を生み出す要因について議論を重ねながら、国家や国境を越えたトランスナショナルな枠組みの中で広がり続ける社会運動と民主化について深く考えます。