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私の視点:ジェンダーと性差別を考える 〜大城 舞未加さん〜

2021年8月15日(日)から18日(水)にかけて、秋田市内にある秋田総合生活文化会館・美術館「アトリオン」で、本学学生の大城 舞未加さんが絵の個展「アートで見る性差別社会」を開催しました。

「ジェンダーレンズ」というコンセプトで開かれたこの展覧会では、日常の何気ないシーンを描いた絵とともに、ジェンダーという視点で見た時にその場面がどういう意味を持つかという大城さんの解説文が添えられました。想定している以上にポジティブな反応が多かったと話す大城さんに、個展を開いた思いや、今後の抱負などを聞きました。(写真はいずれも大城さん提供)

会場に設置した展覧会のポスターの前で、花を手に写る大城さん

ジェンダーというテーマに、入学時から特別な関心があったわけではない

大学入学時に、同世代の人たちと比べて特別に関心が高かったわけではないと思います。SNSなどでジェンダーというテーマに触れることが多くなるにつれて、家庭での両親の役割分担を見たり、周りの大人が「男の子は運動を頑張らないと」と言うのを見たりした時に抱いていた「モヤモヤ」の正体が徐々にはっきりしてきた、という感じです。そんな時に大学での「ジェンダー学概論」(千葉加恵子 准教授)という授業でジェンダーについて体系的に学んだことで、ジェンダーにまつわる出来事で相手を「私を傷つける嫌なひと」として片付けるのではなく、社会の構造的な問題として広く捉えられるようになりました。

コンセプトは「ジェンダーレンズ」

いったん視野が広がると、日常に自然と溶け込んでいる不平等や性差別が見えるようになってきました。ジェンダーという眼鏡をかけることで、何気なく見過ごしていたふとした風景が、実は誰かを傷つけたり、追い詰めたりしていたかもしれない。この、いわば「ジェンダーレンズ」を通じて私が見えたものを共有したいと思ったのが、個展を開くきっかけでした。

個展の会場で、作品を紹介するように両手を広げる大城さん

想像していたよりも多くのポジティブな反応

4日間の個展で90名もの方々に来場いただき、絵という手段に手応えを感じました。教科書を読むだけでは生まれないような会話が1枚の絵を前に繰り広げられたり、なかなか親子の間で言葉にしにくいことも、展覧会を見にいくことで共有できたり。来てくださった一人ひとり、立ち止まる絵が違うのも印象的でした。

「みんなのレンズ」は大きな眼鏡の形をした展示。そのレンズ部分に貼り出された付せんを読む大城さんの写真

「みんなのレンズ」というコーナーでは、来場者に、展示を見た感想や自身の気持ちを付せんに書いて貼ってもらった。

ジェンダーをライフワークに

ジェンダーというテーマが多くの人にとって身近なもので、言葉にできなくても抱えている思いを持っている人がたくさんいることを、展覧会で実感しました。今回は絵という手段を使いましたが、今後も仲間づくりをしながら、誰かに生きにくさを押し付けない社会をつくるための発信を続けたいと思っています。