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ヴァイオリニスト・廣津留すみれ先生と本学学長が対談

11月29日(月)、著名なヴァイオリニストであり起業家、そして本学の非常勤講師でもある廣津留すみれ先生とモンテ・カセム学長の対談を開催しました。

廣津留先生とカセム学長がステージ上で対談している様子を正面から写した写真

廣津留先生は、12歳で九州交響楽団と共演し、大分の県立高校在学中には米ニューヨークのカーネギーホールにてソロデビューするなど早くからヴァイオリニストとしての才能が認められてきました。出身高校では前例のなかったハーバード大学への進学を決め、大学首席卒業後にはジュリアード音楽院(修士課程)でも首席で修了。2018年にはニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業し、現在は著作やメディア出演も含めて世界的・多角的に活躍している先生です。

2021年4月からは本学にて「Music Beyond Borders(マクロ「音楽」学)」という科目で教壇に立ち、音楽という切り口から教育や文化、心理学、リーダーシップなど社会の様々な側面への考察を深める授業を提供してくれています。基本的にオンラインでの双方向授業を行ってきた廣津留先生にとって、今回が初めて学生と「対面」する機会となりました。対談での先生の言葉を抜粋して紹介します。

困難は、細かなTo Doに分解して乗り越える

(カ)ご出身の高校では前例のないハーバード大進学や、その後のご活躍を見ていると、先生の実行力の秘訣を知りたくなります。

(廣)もともとハーバード大に進学しようと思っていたわけではないです。高校在学時、演奏で訪米した時にちょっとした興味でキャンパスをのぞいてみたのがきっかけで、「この環境で勉強してみたい」と。
そこからは、やるべきことをリストに書き出して、一つひとつを達成していく作業でした。入学のために必要な手続きや書類をGoogleで検索して、対策を練って、書類をそろえる。日本の大学を目指す受験生と、本質的には同じことをしていました。

ステージ上で対談している廣津留先生とカセム学長の写真

(カ)多方面で活躍されている今でも、マネージメントは委託せずにすべて自分で管理されていると聞きました。

(廣)根本には、自分の人生を自分でコントロールしたいという意識があると思います。仕事も、肩書やステータスのためというより、自分が魅力を感じるか、という軸を持つようにしています。
もちろん、いつもそんなにうまくいくわけではないですが、これも日々、To Doを一つひとつ達成していく感覚でやっています。今の癒やしは、Netflixでお気に入りの作品を視聴すること。To Do達成のたびにNetflixに近づく、という感覚です(笑)

自分の感覚を大切にする

(カ)現在に至るまでの様々な経験を通じて、ご自身の中で変化したことは何かありますか?

(廣)「断ることができるようになったこと」かもしれません。以前はあまり気が乗らないことでも、うまくNoと言えませんでした。いきなりできるようになるものではないですが、少しずつ、自分が本当にやりたいことに時間とエネルギーをかけられるようになりました

いま経験していること、これから経験すること。無駄なことは一つもない。

(カ)学生たちにメッセージをお願いします。

マイクを片手に学生に語りかける廣津留先生の写真

(廣)自分が興味を持っていること、自信や情熱を持って語れることなど、何でもいいので大切にしてください。私にとっては、ヴァイオリンがその大切なものです。自分の原動力となったり、友だちと知り合うきっかけとなりますし、もしかしたら(今すぐでなくても)将来、仕事につながるかもしれません。無駄な経験なんてないのです。絶対に何かに活きてきます。
もう一つ大切にしてほしいのが、つながりです。ハーバード大では毎週のようにパーティをしていましたが、思えばあれは「今」を楽しみながら、将来にわたっての仲間づくりをする場でした。そのつながりが、思わぬところで転機となったりします。私の場合は、在学中にふとしたことで実現した世界的チェリストであるヨーヨー・マ氏との共演が、音楽をキャリアとするきっかけとなりました。AIUも、寮生活を通じて他の学生と積極的に関われる環境がありますね。ぜひ色々な機会を見つけて、普段キャンパスですれ違う仲間がどんなひとなのか、どんなことに情熱を持っているのか、お互いに知ろうとしてみてください

対談後に行われた演奏会では、廣津留先生によるヴァイオリンと、先生の授業を履修している本学学生の仲田 大樹さんによるピアノの伴奏に、参加した学生・教職員一同聴き入りました。

ヴァイオリンを片手に曲目紹介する廣津留先生の写真。傍らに立つのがピアノ伴奏をした仲田さん。

最後には、譜めくり役として同席した山本 啓介さんも、実はサックス奏者だったというサプライズ演出も。「つながりを大切に、今を楽しむ」との言葉をそのまま体現いただいたひと時でした。

廣津留先生、仲田さん、山本さんが共演しているステージ全体写真

座談会も開催

当日は熊谷副学長をホストとした座談会も開催し、廣津留先生と学生たちが語り合いました。先生からは、留学生活の体験談や、自らの経験を踏まえた、留学にあたっての心構えやアドバイスなどをいただきました。

円形に配置された椅子に座って語り合う廣津留先生と学生、そしてホスト役の熊谷副学長の写真