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AIU TOPICS

2023年国際教養大学卒業式・専門職大学院修了式を挙行

卒業式の様子

3月21日(火)、本学Suda Hallにて国際教養大学卒業式・専門職大学院修了式を挙行しました。卒業生151名と修了生20名が新たな一歩を踏み出しました。

新型コロナウイルス感染症対策のため、会場では卒業生・修了生が間隔をあけて着席し、式の様子はオンラインで中継されました。入構を許可された卒業生・修了生のご家族は本学の大教室であるコベルコホールから、また、来賓の皆様にも全国・世界各地からオンラインでご参列いただきました。

学位記授与後、モンテ・カセム学長が本学を巣立つ卒業生・修了生に向けて式辞を述べました。

カセム学長が壇上で式辞を述べている写真
カセム学長による式辞

科学技術の発展によるIoTの普及でDX化が進む今日について触れながら「AIが『インテリジェントマシン』を動かすとき、最終的な責任はどこにあるのか。こうした疑問は、今後、社会が向き合わなければならない問題です。AIUのリベラルアーツ教育を経た皆さんには、そのような疑問を持つ力が培われています。そうした問いへの答えを社会人になってからも探し求めてください。」「お互いの違いを認めることで多様性を受け入れることができ、そうすることで思いやりのあるコミュニティや誰もが輝ける社会を作ることができるのです。AIUのリベラルアーツ教育の成果として、人間の崇高な本能を前面に出し、他者との関わりを持つように心がけてください。」と学生たちを激励し、結びに「AIUは皆さんの第2のふるさとです。時にはこのキャンパスを訪れて、後輩たちの刺激となってあげてください。皆さんは、真の自立したグローバルリーダーになるための最初の一歩を、力強く踏み出そうとしているのです。皆さんの成功を祈っています。」と送り出しました。

続いて、神部 秀行 秋田県副知事から祝辞をいただきました。昨今の社会情勢を踏まえ、「こうした激動の時代においては、その場に立ち止まっていることはできません。激流の中でカヤックを安定させるには、流れと同じ速さか、あるいはもっと速く進むことが必要なように、時代の激しい流れに自ら進んで漕ぎ出す勇気が必要です。」「皆さんには、国際教養大学で培った様々なリテラシーを武器に、実社会の中で、多角的かつ多様な観点から物事の本質を見極め、高い倫理感を持ちながら正解なき課題に果敢にアプローチしていくことが期待されています。」と温かい言葉をいただき、「希望に満ちた輝かしい未来は、やってくるものではなく、自ら実現していくものであり、そして、いつの時代にあっても、未来を創造していくのは若い力です」と卒業生・修了生に向けてエールをいただきました。

神部副知事による祝辞の写真
神部副知事による祝辞

続いて、卒業生を代表して中尾 智さんが、修了生を代表して黒沢 樹里さんが挨拶をしました。以下、抜粋してご紹介します。

卒業生代表の中尾さんが壇上でスピーチしている写真
卒業生代表の中尾 智さん

中尾 智さん (国際教養学部グローバル・スタディズ課程)

「4年前に入学したばかりの自分を今でも鮮明に覚えています。期待に胸を膨らませていた一方、最初は慣れない環境や全て英語で行われる授業に圧倒され、ついていけるのか不安で押しつぶされそうになっていました。しかし、なんとか乗り越えられたのは、友人や教授陣が献身的に支えてくれたおかげです。」

「3年前、新型コロナウイルスが流行しはじめ、私たちの『あたりまえ』だったキャンパスライフは大きく変わってしまいました。留学に行けない現実を受け止めるのは容易ではありませんでしたが、『留学に行けないいま、自分は何ができるのか』という、新たな視点で考え、行動する力を養うことができました。大学のオンライン授業と並行して経験した、仙北市役所でのインターンシップ、仙北市内の米農家での5カ月間のホームステイでは、秋田の地元の方々の温かさ、農業のやりがいや大変さなど、キャンパス内の授業だけでは得難かった貴重な学びを得ることができました。」

「待ちに待った渡航留学が徐々に再開され、カナダのトロントに半年間留学することができました。異国の地で新たな文化や『人』に出会い、留学先の学生とのディスカッションに積極的に参加し、知見を得る毎日は何にも代えがたい経験で、私の視野を大きく広げてくれました。」

「ともに4年間を過ごした仲間に伝えたいことがあります。時を同じくしてコロナ禍に翻弄され、順風満帆で、思い描いていた通りの学生生活ではなかったかもしれません。しかし、コロナ禍でもできることを探して、今日まで必死に、ともに走り抜きました。コロナ禍でも決して諦めず、努力を重ねてきた仲間に最大限の敬意を表したいと思います。そして、たくさん悩んで、悩み抜き、苦闘した私たちの学生生活は、この先いつか困難な状況に直面したとき、乗り越えるための大きな財産になると信じています。」

「ここ秋田の地で学び、得たさまざまな経験を糧に、日本中・世界中でたくさんの仲間がGlobal Leaderとして活躍することと思います。秋田県、日本全国、世界のどこかで、また仲間に会える日を心から楽しみにしています。ともに素晴らしい未来を願って。」

修了生代表の黒沢さんが壇上でスピーチしている写真
修了生代表の黒沢 樹里さん

黒沢 樹里さん (専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科 発信力実践領域)

「私は6年前の2017年、学部生としてAIUでの生活をスタートしました。留学から帰ってきて間もなく、新型コロナウイルスの世界的蔓延に見舞われ、私たちの知っている世界は一瞬にして変わってしまったのです。さらに、コロナ禍で採用を延期、中止する企業もあり、思うように就職活動が進められず、就職が決まらない焦りを感じていました。」

「自分を客観的に捉えて考えた結果、より実践的な研究ができ、仕事に直結することが学べる発信力実践領域プログラム(GCP)に進学することを決断しました。そしてそれはのちに、自分にとって最良の決断となりました。GCPでは、将来職業人として活躍するための、実践的で応用力のあるスキルと心構えを身につけることができたからです。」

「私のAIUでの生活は思いがけず、6年という長い期間となりました。数々の変化や課題を経験しましたが、学部に入学した頃から将来の希望、人材像は変わりません。『日本に限らずどこでも専門知識を生かして活躍できる人材になりたい』という展望は、大学院での学修を通じてさらに強く、確かなものになりました。」

「特にAIUで過ごした最後の2年間は、先生方やクラスメイトとの出会いによって、最高のものになりました。先生方は成長をやさしく見守ってくださり、また、仲間は励ましと刺激を与えてくれました。AIUは私の第二の故郷になったような気がします。そして、皆さんにとってもAIUが第二の故郷であることを願っています。」

「本日、AIUでの歩みを終え、ゴールを迎えた修了生のみなさんと、お互いにおめでとうとたたえ合い、喜び合いたいと思います。」

式の最後には、渡辺 玲子 特任教授(ヴァイオリン)と坂野 伊都子さん(ピアノ)による祝賀曲演奏が行われ、卒業式は厳かに幕を閉じました。

式典後記念撮影時の帽子投げの様子

※実際の式辞やスピーチは英語で行われていますが、ここでは要約して日本語訳を掲載しています。