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私の留学レポート:フィンランド・東フィンランド大学~金丸ひなたさん(2)~

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。

今回は、フィンランドに留学中の金丸ひなたさんのレポート第2弾をご紹介します。

こんにちは!グローバル・コネクティビティ領域所属、東フィンランド大学に留学中の金丸ひなたです。留学の最初の学期が終わったこのタイミングで、留学先での授業や学外のコミュニティー、休暇中の旅行などについて書こうと思います。最後まで読んでいただけたらうれしいです。

金丸ひなたさん(画面右端)

授業の舞台は、大学のキャンパスと地域の教育機関

1学期目に私が応用教育科学・教員養成学部で受けたすべての授業に共通していたのは、「大学のキャンパスだけでは学びが完結しない」という点です。授業のどこかでヨエンスーの幼稚園または小学校を訪問する活動が必ず組み込まれており、その毎回がとても刺激的でした。学期を通して、フィンランド語・英語・算数・アート・音楽などの教科指導の時間に加え、朝の会(モーニング・サークル)や、フィンランドの初等教育において重要視されている授業間の休み時間なども見学しました。いろいろな教科の授業を見るのはもちろん、異なる先生が同じ単元をどのように教えているか見比べたり、複数の学校の施設を観察したりするのも面白かったです。

Marine lifeをテーマに飾り付けされた幼稚園の教室。幼稚園も小学校も、フィンランドの教育施設はとてもカラフルで開放的なのが印象的です。

中でも特に印象に残っている授業は、「Basics of STEAM Pedagogy in Early Childhood Education(幼少期教育におけるSTEAM教育法の基礎)」という授業です。STEAM教育とは、現代社会が直面する複雑な問題に向き合うために、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Arts(芸術・デザイン)、Mathematics(数学)の5つの領域を教科横断的に学ぶ教育アプローチです。この授業では、STEAM教育を幼児教育や初等教育でどのように実践できるのかを、実際の活動例を体験しながら学びました。

ストロー、割り箸、粘土なども教材になります。授業内容だけではなく、サステナビリティの観点から、他の活動で使った材料をどう再利用できるかも話し合います。
水溶液の濃度の差を利用して、色付き水で層を作りました。

また、授業の最後には、自分たちで企画した教育イベントを地域の幼稚園児や小学校低学年の児童に向けて実施する機会もありました。私たちのグループは、算数と科学を組み合わせて、「数の大小」と「物の密度」をテーマにした活動を企画しました。子どもたちは果物の重さを量ったり、それらを水に入れて浮くか沈むかを観察したりしながら、「どちらが重いか」「なぜ浮くのか」を考えます。イベント中には、子どもたちが夢中になって果物を水に入れて「パイナップルは大きくて重いのに浮く!」「ライムは小さいのに沈んだ!」と反応して楽しんでいる様子がたくさん見られました。直感とは異なる結果に触れながら、「どうしてだろう?」と考える姿に、遊びや体験を通して学ぶことの大切さを実感させられました。実際に子どもたちと関わりながら学ぶ経験を通して、教育をより身近で具体的なものとして考えられるようになったと感じています。

教会でのフィンランド語レッスン

ヨエンスーには大学のほかにも私が定期的に通っている場所があります。それは、家の近くの小さな教会です。留学が始まって1か月目に町のサウナでたまたま知り合った女性に誘われて、2週間に1回、そこで行われているフィンランド語の勉強会に参加しています。参加している人の国籍はタイ、ベトナム、スリランカ、ネパール、パキスタン、シリア、ナイジェリアなどさまざまで、私のような交換留学生や正規留学生、移民としてフィンランドに来て働いている人など、多様な生活背景を持つ人たちが集まっています。大学の外でフィンランド人と話したり、大学にいるだけでは関わることのなかった人たちと交流したりできるこの時間は、私にとってとても貴重です。この勉強会のおかげで、生活が大学とアパートの往復だけにならず、町の中に自分の居場所が増えたように感じています。

11月から1月にかけての太陽がずっと低くて薄暗く、寒さが厳しいカーモス (kaamos) と呼ばれる季節の間は、このコミュニティーに特に助けられました。2週間に1回ここでしか会わない人たちとの距離感は心地よく、大学の課題や授業のことを話さなくとも「最近どう?」「フィンランドの冬は大丈夫?」と優しく気にかけてくれる人がいることは、異国で生活する私にとって大きな支えでした。間違いなく、気分が落ち込みがちだったカーモスの時期を乗り越えられた理由のひとつです。

何より、この勉強会でフィンランド語を学ぶことで、「言いたいことが少しずつ言えるようになる」という言語学習の楽しさを再び体験できていることがうれしいです。最初は単語や基礎的なフレーズを覚えるのも大変でしたが、今では簡単な文章を作って話せるようになり、フィンランド語で表現できることが増えてきました。その過程で味わう達成感は、私が中学校で初めて英語を勉強し始めたときのワクワク感を思い出させてくれます。言語を通して世界が広がっていく感覚や、異なる母語を話す人と通じ合えたときの喜びを再び味わえることは、留学生活の大きな楽しみのひとつです。

フィンランド語を勉強したあとは、みんなで軽食や季節のお菓子を食べながらおしゃべりをします。

休暇中の中東・中央アジア旅行

学期の間の休みに、私はトルコ、アゼルバイジャン、ウズベキスタンの3か国を旅行しました。中でも長く滞在したのはウズベキスタンで、国を西から東に電車で横断しながら4都市を訪れました。子どもの頃に読んだ絵本の中に登場人物がウズベキスタンのサマルカンドのバザールを訪れる場面があり、私はその異国的な風景にどうしようもなく心を惹かれました。それ以来、私にとってウズベキスタンは「いつか自分も行ってみたい」と思う憧れの場所でした。実際にウズベキスタンの都市を歩き、市場のにぎわいや歴史的な建築を目の前にしたとき、子どもの頃には想像することしかできなかった世界の中に、自分が本当に立っていることに不思議な感動を覚えました。旅行中は、英語が十分に通じない場面も多くありましたが、そのたびに現地の人々が親切に助けてくれました。文化や言語が異なっていても、人の温かさに支えられながら旅ができたことは、とても心に残っています。フィンランドの静かで落ち着いた冬の生活とはまた違った、中東や中央アジアの街の活気や人との距離感も新鮮で、留学中だからこそできたいい経験だったと感じています。

「青の都」サマルカンドの建築の美しさには、ただただ圧倒されました。

留学も後半に入り、帰国が少しずつ現実的に感じられるようになってきました。新年を迎えて始まった春学期の授業に加えて、フィンランド語の勉強会や新しく始めた日本語のスタディーサークルなど、日常の中でさまざまな経験を重ねています。こうした恵まれた環境の中で過ごせていることに感謝しながら、ひとつひとつの時間を大切にして残りの留学生活も過ごしていきたいです。

国際センターから一言

座学にとどまらず、授業を通じてフィンランドの教育現場を実際に目で見て肌で感じられたことは、まさに留学だからこそ得られた貴重な経験ですね。 日照時間の短い冬を乗り越える大変さはよく耳にしますが、現地のコミュニティに深く溶け込むことでその寒さをも乗り越え、さらに難関と言われるフィンランド語を会話レベルまで上達させたのは本当に素晴らしい成果です。 今後、北欧を目指す学生さんにとっても、大きな勇気と参考になる体験の共有をありがとうございます。

英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。