AIU TOPICS
学生活動
私のオススメ授業紹介:日本映画Ⅲ(根本天羽さん)
国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。
また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。
この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。今回は根本天羽さんのオススメ授業第1弾をご紹介します。
こんにちは!グローバル・コネクティビティ領域の根本天羽です。今回は私の留学先での専攻分野を決めるきっかけとなった「日本映画Ⅲ」についてご紹介します。

どのような授業か
この授業は黒澤明監督の作品を毎週1本ずつ鑑賞し、なぜ彼が世界的に高い評価を受け続けているのかを、舞台演出、撮影技法、物語構成など多角的な視点から考察する内容でした。毎回の授業後にはカメラワークや音楽、物語について振り返るレポート課題があり、鑑賞の記録を深く残すことができます。2カ月間の冬セメスターで約8本の映画を鑑賞し、それぞれ教授が専門的な解説をしてくださいました。
授業内では黒澤作品単体だけでなく、他の一流作品との関わりについても学びます。例えば物語論の観点では、黒澤作品にはウィリアム・シェイクスピアの戯曲をもとにしたストーリーが取り入れられているものがあります。これが欧州の観客にも馴染みやすく、国境を越えて広く受け入れられた成功要因の一つであることを学びました。さらに『スター・ウォーズ』シリーズにおける黒澤作品からの影響など、現代の著名な映画との比較も扱われます。 最大の特徴は、グループで黒澤監督の撮影技法を模倣し、映画や予告編を制作する実践的な課題です。キャンパス付近の林や図書館の本棚を活用してアングルを工夫したり、アフレコや編集作業に取り組んだりと、能動的に動きます。特に『七人の侍』の戦闘シーンを再現するため、同期たちと雪合戦をしながら撮影を行ったことは、今でも深く印象に残っています。
履修したきっかけ
私が本科目を履修した理由は、世界的に名高い黒澤明監督の作品群に深く触れ、日本人としての教養を身に付けたいと考えたからです。以前から黒澤監督の名前は知っていたものの、これまで作品に触れる機会がありませんでした。しかし、もともと映像表現に漠然とした興味を抱いていたこと、そして何より近いうちに海外留学を控えていたことが、この授業を選ぶ大きなきっかけとなりました。海外で多様な文化に触れるにあたり、まずは自国の映画文化や歴史への理解を深めたいと考えたのです。 また、座学でセオリーや概念を学ぶだけでなく、実際に黒澤監督の撮影技法を応用し、一から台本作成、カメラワーク、編集までを実践的に行える点にも強く惹かれました。映画学の中で、このように実践的な撮影や編集を経験できる授業は、留学先も含めて多くはありません。教室を飛び出して映画制作を経験できたことは、私にとって非常に貴重な機会になると確信し、履修を決意しました。
授業を受けてみての感想
もともと私は漠然とメディア学に関心を持っていましたが、この授業を通じて、映画という窓から制作当時の社会情勢や監督の生い立ち、さらにはテクノロジーの発展までを横断的に学べる「映画学」の奥深い魅力に気づかされました。また、日本の武士道の描写や、黒澤作品が世界で評価される要因を体系的に理解できたことも大きな収穫です。日本映画という「内側」にベクトルを向けることで、かえって映画をグローバルな視点で比較し、より広い視野で捉えられるようになりました。 この経験が、映画学を幅広く学べるハンガリーのペーチ大学への留学を決意するきっかけとなりました。留学先ではヨーロッパ映画史や物語論を中心に学びましたが、シェイクスピアの戯曲を扱う授業を履修した際、日本人が私一人だったこともあり、日本的な視点からの意見を求められる場面が多くありました。 その際、この授業で学んだ「シェイクスピア作品と黒澤映画の関連性」や「日本のアニメ作品とのつながり」をベースに比較・考察を深めることができ、現地での学びをより豊かなものへと発展させることができました。自国の文化を深く知ることが、グローバルでの強みになると実感しています。
オライリー先生からのメッセージ
『七人の侍』(1954年)のラストシーンで、勝利を収めた英雄・勘兵衛は、「今度もまた、負け戦(いくさ)だったな」という奇妙な言葉を残します。確かに数人の仲間を失いはしたものの、戦いには勝ったはずです。一体、勘兵衛は何を言わんとしているのでしょうか?
同じシーンを観ていても、観客によって全く異なる解釈や結論が生まれる――そんな映画が持つ「正解のない魅力(多義性)」や、黒澤明監督の圧倒的な演出力について、もっと深く学んでみませんか?さらに、なぜ黒澤映画(特に『七人の侍』)が海外でこれほどまでにしきりにリメイクされ続けるのか、その人気の秘密も解き明かします。この授業は、そんな秘密を知りたいあなたにまさにぴったりの内容です!
※実際のコメントは英語ですが、ここでは意訳した日本語を掲載しています。