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私のオススメ授業紹介:ビジュアル・ポリティクス(渡部満絢さん)
国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。
また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。
この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。
今回は渡部満絢さんのオススメ授業第2弾をご紹介します。
みなさんこんにちは!渡部満絢です。2022年春に入学し、グローバル・スタディズ領域を専攻しています。今回は印象に残っている授業の一つ、「ビジュアル・ポリティクス」を紹介します!

科目情報
PLS387 ビジュアル・ポリティクス
教員:ノア・ケオネ・ヴィエルネス 教授
単位数:3単位
履修した理由
私は幼少期から映画やドラマを見ることが好きで、以前から映像を学問として学んでみたいという興味を持っていました。また、私の専攻はサステナビリティ領域であるため、映像などのアートを通して社会課題にアプローチできたら面白いのではないかと日頃から考えていました。
ある時友人から、Noah先生の授業が面白いと紹介してもらい、先生が開講している授業を調べてみたところ、この授業を見つけました。この授業は「ポリティクス」という言葉が名前に含まれていますが、政治に限らず幅広い社会課題も扱うと聞き、映像と社会課題という自分の関心を結び付けられる授業だと感じ、より興味を持って履修を決めました。
また、私はエッセイやテスト形式の課題よりも、プロジェクト形式で成果物を制作する方が自分に合っていると感じています。この授業では、大きな課題のほとんどが実際の動画制作であり、グループでフィールドに出て撮影を行ったり、編集作業に取り組んだりする実践的な学びができる点にも魅力を感じました。映像制作の技術も身に付けられると考え、最終的にこの授業を履修することにしました。
ビジュアルイメージと社会課題
この授業の大きな目的は、社会課題、特に地域が抱える問題をビジュアルイメージを通して表現・探究する方法を学ぶことです。ここでいうビジュアルイメージとは映像を中心に、コラージュや漫画など幅広い表現媒体を含みます。扱うテーマも、人口減少や環境問題、紛争といった大きな社会課題から、地域コミュニティや個人の経験に関わる身近な問題まで多岐にわたります。
授業では、こうした問題をどのように表現するかを映像や論文をみながら学術的な視点から学びます。例えば、同じ社会課題でも、誰の視点から描くかによって映像が与える印象や意味は大きく変わります。そのような視点を踏まえながら、社会課題を効果的にビジュアライズする方法について考えました。また、DaVinci Resolveを用いた動画編集など、映像制作の技術も実践的に学びました。
授業では全3回の制作課題がありました。最初は映像だけでなく、絵や写真、コラージュなど多様な媒体を用いて身近なテーマを表現し、最後にはグループで秋田に関連する社会課題をテーマに映像作品を制作しました。各グループが実際にフィールドへ赴いて取材・撮影を行い、地域のコミュニティスペースを取り上げるグループや、地方交通をテーマに交通事業者へインタビューするグループなど、題材はさまざまでした。私たちのグループは「秋田県民と海外とのつながり」をテーマに、駅前で街頭インタビューを行うとともに、海外との交流コミュニティを運営する方への取材を実施しました。このように、授業ではビジュアルイメージと社会課題との関係を、理論と実践の両面から探究する機会が数多く設けられていました。

授業を受けてみて
この授業を通して、映像制作の一連の流れを基礎から学ぶことができただけでなく、DaVinci Resolveを用いた本格的な映像編集技術も身に付けることができました。特に印象に残っているのは、編集には最初から正解があるのではなく、実際にさまざまな表現を試しながら最適な形を見つけていく姿勢が大切だと学べたことです。編集で繰り返し実験する中で、映像の印象が少しの工夫で大きく変わることを実感し、表現の奥深さを感じました。
また、この授業の魅力は、単に映像制作の技術を学ぶことだけではありません。同じ課題に取り組んだ他の学生の作品を鑑賞したり、自分の作品に対して先生やクラスメートから直接フィードバックを受けたりする機会が多くありました。同じ指示のもとで制作していても、完成する映像は一人ひとり全く異なり、それぞれの視点や表現方法の違いに触れられることがとても刺激的でした。他者の作品から新しい発想を得るだけでなく、自分自身の表現の癖や特徴にも気付くことができ、技術面だけでなく、視野を広げられた貴重な経験になりました。
ヴィエルネス先生からのメッセージ
私は、ハワイ大学でこの授業を開発・担当した経験を経て、2014年からビジュアル・ポリティクスの授業を担当しています。ハワイでは、慣れ親しんだ環境の中で、学生たちが地域のさまざまなパワーダイナミクスとつながり、地域についてのより深い視点を育むことができたことを嬉しく思っていました。秋田では、学生たちがプロジェクトを形づくる過程により主体的に関わります。そのことが、プロジェクト型学習におけるグループ内での積極性と、一人ひとりの自律性を高めることにつながっています。
ビジュアル・ポリティクスの授業では、学生たちは地域の声をエンパワーし、より広く届けることを目指します。同時に、様々な形式のメディアを通して、自分自身の声やクリエイティブな才能を見つけていくことも目指しています。この授業を履修した卒業生の中には、NHKでドキュメンタリー制作に携わったり、映像制作の大学院へ進学したりした学生もいます。さらに、ここ秋田で自分たちの映像制作スタジオを立ち上げた2人の学生もいます。そして、全ての学生が、この分野で今後も活動したいと思ったときに続けていけるポテンシャルを身につけてくれています。
選択科目であり、グローバル・スタディズ領域の授業でもあるこの授業を通して、学生たちがカメラやマイク、映像編集の仕組みについて、理論と実践の両面から学びを深めてほしいと思っています。そして、ビジュアル・メディアを使って、私たちを取り巻く環境の変化を探究し、理解する力を身につけてほしいと考えています。