AIU TOPICS
学生活動
私の留学レポート:オーストリア・ヨアネウム大学~吉田沙椰さん(3)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、オーストリアに留学中の吉田沙椰さんのレポート第3弾をご紹介します。

暮らしに音楽がとけこんでいる街、グラーツ
私の留学で最も印象に残っているのは、オーストリア・グラーツで体験した音楽文化です。ウィーンやグラーツでは多くのコンサートに足を運びましたが、特に心に残っているのは「Franz Schubert and Modern Music」という室内楽のコンクールでした。若い音楽家たちが同じシューベルトの曲をそれぞれの解釈で全く異なる雰囲気で演奏してくれました。音楽の専門的な知識がほとんどなかった私にもその創造性と情熱は強く伝わり、音楽の自由さや表現の多様性を実感しました。
また、グラーツでは日常の中にも音楽があふれていました。街角ではストリートミュージシャンが演奏しており、寮のすぐ隣にある芸術大学のスタジオからは、バイオリンやアコーディオン、サックスなどの音色がよく聞こえてきました。部屋の窓の外には小さな公園があり、グラーツという街の穏やかな雰囲気を感じられる場所だったため、そういった心地よい音楽が景色と調和しているように感じました。

友人達に支えられて
一年間の留学を通して、私は「自分から一歩踏み出して人と関わること」の大切さを学びました。渡航当初は英語に自信がなく、授業で発言することや新しい人間関係を築くことに不安を感じていました。そんな中で、同じ大学に留学していたアジア出身の友人たちと親しくなりました。同じ地域出身であることから日常の中で共感できることも多く、自然と安心して過ごせる関係を築くことができました。彼女たちはパーティーや食事会などのイベントにも積極的に誘ってくれ、最初は戸惑いながらも参加するうちに、人と関わることへの抵抗が少しずつ薄れていきました。一学期目は、そうした友人たちに支えられながら、グラーツでの生活に慣れていくことができたと感じています。
また、寮のルームメイトとの時間も、私にとって大切な支えでした。彼女は同じ大学の学生ではありませんでしたが、週末には一緒に公園でピクニックをしたり、ドイツ語の絵本を読んだりしながら、落ち着いた時間を過ごしました。授業とは異なる日常の中で会話を重ねることで、言語に対する抵抗が和らいだだけでなく、安心して自分らしくいられる環境があることの大切さにも気づくことができました。


こうした経験を通して、二学期目には自分から行動を起こし、他の学生とも積極的に関わろうとする姿勢が身につきました。授業やグループワークにおいても、以前よりも自分の意見を伝えることに前向きに取り組めるようになり、留学生活をより主体的に楽しめるようになったと感じています。今後もこの経験を大切にし、どのような環境においても自ら一歩踏み出す姿勢を持ち続けていきたいと考えています。
現地の言葉で会話してみる
一方で、課題として残ったのはドイツ語の学習です。一学期目は大学でドイツ語の授業を履修していましたが、ドイツ語でドイツ語を学ぶことが思った以上に難しく、二学期目は継続を断念しました。それでも、ドイツ語を勉強しているルームメイトやオーストリア人の友人に助けてもらいながら、絵本を読んだり簡単な会話をしたりして、少しずつ親しむようにしていました。月に一、二回ほどのペースでしたが、短い会話を通して相手が笑顔で返してくれたときには、小さな達成感と嬉しさを感じました。
最終的には、カフェやレストランで注文をするなどオーストリアで生活するうえで必要な程度にはドイツ語を話すことができるようになりました。友人との日常会話までは難しく、簡単な会話でも完璧には話すことはもちろんできないのですが、現地の言葉でやり取りをすることで、その土地の文化や人の温かさをより深く感じることができました。今後は、ドイツ語を少しずつ学びなおしながら、異なる文化や価値観を持つ人とも自分の言葉で関わっていけるようになりたいと考えています。


人との関わりが自分自身を変えていく
今回の留学を通して感じたのは、語学の上達だけでなく、人との関わりを通して自分自身が変わっていくということです。慣れない環境の中で不安も多くありましたが、周囲の人々の温かさや思いやりに支えられ、少しずつ前向きに行動できるようになりました。留学生活では、語学力よりもまず「人と関わろうとする姿勢」が何よりも大切だと感じます。相手の言葉を完璧に理解できなくても、笑顔や態度で思いが伝わる瞬間があり、その積み重ねが自信につながりました。
これから留学を考えている後輩たちには、うまく話せなくても臆せず一歩を踏み出してほしいと思います。海外での生活は決して簡単ではありませんが、その中で出会う人や経験は、きっと自分を大きく成長させると信じています。
国際センターから一言
「笑顔や態度で思いが伝わり、それが自信に繋がった」という言葉に、まさに留学の真髄が詰まっています。たとえ言葉が完璧でなくても現地語でトライする価値が、見事に証明されていますね。これから非英語圏へ留学する学生さんたちが、この「関わろうとする姿勢」を胸に一歩を踏み出すきっかけとなるような、素敵なレポートをありがとうございました。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。