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学長メッセージ

ここだけでできる教育、そしてここだけで育つ人材

国際教養大学(AIU)は、ここ秋田の地でそれまで日本になかった新しいグローバル教育をスタートさせ、全国各地から学生が集まるとともに、Times Higher Educationの大学評価にも象徴されるように、今や世界が認める大学になりました。これは多様性と活力に満ちた学生と教職員、秋田の地域社会、そして世界各地の提携大学が織りなすAIU Community が生み出した奇跡と言えるでしょう。

AIUは、グローバルリーダーの育成を目的としてリベラルアーツ(教養)教育を展開してきました。広範な知識を吸収し人格を陶冶することは本学の教育の核心です。一方、ますます混沌とする世界をたくましく生き抜くには、さらに高いレベルでの「応用力」が必要になります。

そのため、2021年より「応用国際教養教育(Applied International Liberal Arts: AILA)」という新たな教育手法を導入しました。 ある科目と他の科目群との関連性、理論と現実課題との乖離の実証的検証、思考を論理的に文章にまとめ、発信する力を段階的に強化し、さらに学外・海外での実体験を通して自己省察と確立をはかっていきます。「異なる知識体系を弾力的に融合する力、多角的分析力、そして課題解決力(統合知)」と「誠実さ、忍耐力、礼節、そして社会的責任感(人間力)」を身につけるべく学生の成長を後押ししていくのです。

世界的な新型コロナウイルス感染症拡大により「1年間の留学義務」が叶わなかった時期にも、本学は海外提携校と連携し、オンラインによる「バーチャル留学」を提供したほか、CourseraやedX等、世界の一流大学によって提供されているオンライン授業と長期インターンシップの組み合わせを各学生が自由にデザイン・実行する「Independent Study」といった留学代替認定制度を導入しました。このように非常時下においても様々な学びを柔軟に織り交ぜながら新たな学びの仕組みを構築することは、まさに本学の応用国際教養教育を反映する一側面でしょう。

急速な社会の変化を象徴するDX(Digital Transformation)は、リベラルアーツ教育の成果を発揮する格好の舞台となるでしょう。技術そのものはエンジニアによって開発されるとしても、それを人々の豊かな暮らしに応用する手だては、各学問分野を超えた視点を持つ者のみが見いだすことができるからです。また、GX(Green Transformation)においては、脱炭素社会の実現に向けた様々な変革が提案されています。この全世界的な目標を達成するためには、各国と協調しながら世界を動かすリーダーシップが必要となります。

AIU での学びのフィールドは、キャンパスをハブとして秋田県全域、提携校のある世界各地へと広がっていきます。本学には、皆さんの関心に応じた様々な科目履修に加え、多様な企業や自治体と協働しながら知識やスキルを身につけ、そして応用することで学際的応用力と人間力を育むための最適な学びの環境があります。

今後、世界の不確実性がどれだけ増そうとも、また、いかなる高度デジタル社会が到来しようとも、世界中の人々と繋がりながら課題を解決していけるグローバルリーダーの重要性が変わることはありません。AILAが生み出す無限の可能性を一緒に切り拓いていこうという志のある皆さんが、AIU Communityに加わってくださることを楽しみにしています。

モンテ・カセム Monte CASSIM
国際教養大学 理事長・学長(元立命館アジア太平洋大学学長、元大学院大学至善館学長)