複数の学問領域をまたいだ多角的な視点で問題解決にあたるスキル(統合知)は、多くの人々や地域社会と理解し合いながらプロジェクトを進めていく社会的スキル(人間力)があってこそ実社会で活かされます。
人と深く関わりながら、国際教養教育で身につけた能力を発揮する訓練を積む様々な実践の場があります。
PBL、答えはここに。
水野 智仁 Dr. Norihito MIZUNO (事業推進責任者)
ASEAN地域の提携校との国際協働PBL(Project-Based Learning:課題解決型科目)を実施しています。PBLでは提携校との国内外での協働により、講義、資料調査、フィールドワークなどによるデータ収集・分析、発表・討論、レポートの作成を通して、各地域に関連した様々な課題に取り組みます。そして、異文化体験・交流を経ながら、文献資料や収集したデータの多角的分析に基づく考察力や課題に対する解決力を養うとともに、コミュニケーション能力や共同作業能力を身につけることを目指します。2019年度は、マレーシアのボルネオ島サバ州におけるグリーン・エコノミー(持続可能な開発・発展を実現する経済の在り方)、秋田県内とタイ北東部における持続的地域発展・振興の可能性、タイのバンコクを中心とした、戦時中の日・タイ関係や秋田県とタイとの文化・経済交流の可能性について、PBLを実施しました。
フィールドワークで訪れた泰緬鉄道の見学にて。左から3番目が三政さん。
現地の大学での実際の講義や活動を通じてタイを学びたいと思い、今回のPBLに参加しました。最終発表では、日タイ関係の今後のあり方について、民間交流を促進することを軸に提案しましたが、この結論に至るまでにはチームメイトと何時間にも及ぶディスカッションを重ねました。二国間における友好関係について、歴史・経済・文化などのあらゆる視点から考察することの重要性と、その難しさについて学ぶことができました。
三政 奈緒 Nao MIMASA
タマサート大学とのPBL科目
GSS303「日タイ(秋田・タイ)関係の過去・現在・未来(PBL)」を履修
JR東日本秋田支社と本学が締結した連携協定のもとで、都市と地方の新しい関係性を示す概念である「関係人口」をテーマに据えたフィールド演習型の科目を開講しています。講座では、過疎高齢化が進む地域において、地域住民が移住者や訪問者と協働しながら展開している地域づくりの様々な事例について、学生が実際に現場を訪れ、インタビュー調査を通じて学びながら、従来の地域活性化や農村再生の枠組みにとどまらない自律的なコミュニティ開発のあり方を探求します。
※テーマは変更となる可能性があります。
秋田県でのフィールドワーク
「秋田における『関係人口』の創出が地方創生にどう貢献するか」について、 様々な地域の事例をもとに学生同士で議論を重ね、理解を深めました。座学だけにはとどまらず、 秋田県内で行ったフィールドワークでは、地域おこし協力隊や住民の方へのヒアリングを通じて、地域に共通する特徴について関係人口という切り口から考察を深めました。異なる展望を持つ住民の理解と協力を得ながら活動を進める難しさや、仲介者の存在の大きさを学び、私自身、AIU を卒業後、秋田県に居住していなくても、関係人口の一人として地方創生の主体になり得ることを実感しました。
牧野 涼 Ryo MAKINO
SOC326「関係人口論」を履修
ほぼすべての教養専門科目群の授業において、知識の統合と応用実践の機会をAILAプロジェクトとして授業の内外で提供しています。
自然環境が世界の経済、社会でいかに重要な役割を果たしているのかを理解し、学生が持続可能な開発の担い手となれるよう、環境保全の課題を考察します。例えば、持続可能な土地利用の実現といったテーマに沿った少人数のグループワークで、持続可能な開発を実現する方法を検討し、レポートを作成します。自分とは異なる視点を持つ仲間と問題に向き合い、ときには意見の衝突を通じて課題への理解を深めることで、協働で問題解決策の方法を導き出す術を身につけていきます。様々な見方が交錯する実社会において、最初から皆が賛成するアイデアは未熟な考えと捉え、「アイボリー・タワー(象牙の塔)」を抜け出した学びを目指します。
学生と秋田県内の企業が連携し、企業の課題解決を通して、「より良い秋田をデザインする」ことを目的としたプログラムです。机上の学びを、企業内における活動に応用し、実践的な学びへと深めます。
課題例
- Afterコロナ時代の観光を見据えた老舗企業のDX戦略
- MaaS(Mobility as a Service)時代における未来のサービスステーションの役割 など
2021年5月に締結した、三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、株式会社ウェンティ・ジャパン及び株式会社北都銀行との協定に基づき、2022年度春学期から電力・エネルギー全般をテーマとした寄附講座を開講しています。世界の再生可能エネルギーの取り組みや課題を講義やフィールドワークを通じて学び、秋田県の課題に応用しながら、様々な課題解決の思考訓練を行います。また、国内外で活躍するグローバルリーダーからリーダーシップを学ぶことにより、秋田県や国内外の経済活性化を担う人材を育成します。
秋田県内の小・中学校を中心に、幼児から大学生まで幅広い世代との交流活動を行っています。交流活動を通して、学生は大学生活で培った学びを実践し、深めています。2020年度からはオンラインによる活動を開始し、日本国内に在住する学生のみならず、海外に居住する学生とも交流活動を行っています。
中高校生を対象とした、「英語を英語で学ぶ」イングリッシュビレッジを開講しています。講師となる本学の学生(大学院生、学部生、留学生)は、事前に担当教員からトレーニングを受け、英語で中高校生に授業をするという経験から、自律的かつ能動的に学修する姿勢を身につけています。秋田県内に限らず、県外の中高校生も参加しており、国際教養大学というグローバルな環境の中での英語学習を楽しんでいます。
秋田県内外の小中学校の英語教員を対象に、ティーチャーズセミナーを開講しています。セミナーでは、「英語を英語で教える」ことの意味やその手法、実践的教授法、クラスマネジメントなどについてのワークショップを実施しています。県内外の教育委員会とも協働しながら本学がこれまで培ってきた英語教育の実践的方法論を活用し、初等・中等教育を担う現職教員の指導力向上に貢献しています。
本学が短期留学生向けに提供するパートナーズプログラムは、本学と本学の海外提携大学の教員が共同で開発した日本研究プログラムです。
米国のウィリアム・アンド・メアリー大学とニューメキシコ大学の学生が、秋田を出発点として青森、京都、長崎、東京と、日本各地の名所・旧跡を巡りながらその歴史を学び、日本史への理解を深めました。
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Once Upon a Time in Japan was my first time in Japan, and it was a wonderful adventure! I really enjoyed the hands-on approach to learning by visiting different historical sites. Additionally, traveling allowed me to experience Japanese culture in a unique way. I am so thankful for this seminar, and consider it one of the highlights of my college career.
Leah GRIFFITH, The College of William & Mary, USA
オーストラリア国立大学の学生が大都市圏とは異なる日本を秋田で体験しつつ、秋田の気候風土、歴史、伝統工芸、食文化や、少子高齢化と過疎化の課題について学びました。また、冬の祭りに参加するなど、秋田の人々との交流を重ねました。
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This program was not my first trip to Japan, but it was undoubtedly the most memorable and impactful I have had thus far. Meeting locals in Shiraiwa, making new friends, eating your way through local specialties, and extending your Japanese language ability through difficult, yet engaging lectures. This program is perfect for those seeking a challenging, but holistic way to engage with rural Japan.
Lachlan HALL, The Australian National University, Australia
主にオーストラリア国立大学の学生を対象とした6週間のオンライン日本語コースです。実用的な日本語を学びつつ、様々な人との対話を通して現代日本社会についての知識も深めることを目的としています。本学の学部生とともに、日本在住の方にインタビューを行い、その成果を発表する共同プロジェクトを行いました。
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このプログラムに参加できたことは素晴らしい経験でした。実際に秋田を訪れることはできなくても、日本人の学生や先生方のサポートのおかげで、課題やインタビューを通して秋田について多くのことを学べました。日本人学生とは友人関係を築くこともでき、日本語の上達にとどまらない、有意義なプログラムとなりました。
エマ・イェン Emma YEN
オーストラリア国立大学(オーストラリア)
キャンパス内には、新入生が入寮する学生寮、2年生以上の学生が入居する学生宿舎があり、交換留学生とともに居住しています。様々な学生が集うキャンパス内で、特定のテーマに基づいた活動をする「テーマ別ハウス群」が、2014年度から導入されています。メンバーは、1学期間の共同生活を行い、テーマに沿ったイベントの企画・運営に取り組みます。2021年度は、オンラインでの活動となりましたが、日本語ハウス、ロシア(スラブ)言語文化ハウスが活発な取り組みをしました。キャンパス内での生活もリベラルアーツ教育の一部ととらえ、日常生活の中でも自らの力を高めていきます。