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【特別講演会】第1回「コミュニケーションの進化と未来社会」(山極壽一・京大総長)
国際教養大学では、学生・教職員を対象として、「ポスト新型コロナウイルスを見据え、今、考えるべきこと、そしてこれからの社会のあり方」を共通テーマとして、各界を代表する国内外の有識者によるオンライン講演会をシリーズで開催しております。本講演会を通して、新型コロナウイルスが人類にもたらしている影響を多面的に理解し、今後のグローバル社会のあり方を考えてまいります。
第1回は、9月8日(火)、京都大学総長の山極 壽一氏をお迎えし、「コミュニケーションの進化と未来社会」というテーマでご講演いただきました。
人類学・霊長類学者である山極総長は、京都大学理学部を卒業後、同大学大学院理学研究科修士課程、博士後期課程へ進まれた後、(財)日本モンキーセンター、京都大学霊長類研究所、同大学院理学研究科でのご経験を経て、2014年に京都大学 第26代総長に就任されました。ゴリラ研究で世界的に知られ、論文や書籍を数多く執筆されております。
講演会では、新型コロナウイルスがどのように発生したのか、なぜパンデミックを引き起こしているのかについて、生物学的・社会学的見地から解説いただいた後、人間社会の発達に関連し、集団規模とコミュニケーション形態の相関性や言葉の発達がもたらしたものについて、ゴリラ等他の霊長類との比較を交えて分かりやすく説明いただきました。続けて、情報革命が起きたことにより、我々は「現実よりもフィクションに生きている」「現代は不安の時代」であるとし、デジタル社会への危機感を提起するとともに、今後のグローバル人材には特に「状況を即断し、適応できる」能力が資質として求められ、それを身に付けるためには、機械ではなく自然と向き合い対処する経験を積むことが必要であること、また、現代の大学教育には「共感力」を使った学びが重要であることなどを、力強く語ってくださいました。
質疑応答では、学生から、人間の非言語的コミュニケーションや人口増加のもたらす影響についてなど、幅広い質問が寄せられ、山極総長から示唆に富んだ見解を示していただきました。
講演を通じ、新型コロナウイルスの問題を、人類の発達の歴史や霊長類における人間の特色にまで視野を広げて捉えることができたと同時に、多くの教訓を共有していただくことで刺激を得ることができ、実りある時間となりました。