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AIU TOPICS

2022年国際教養大学卒業式・専門職大学院修了式を挙行

卒業式の様子

3月21日(木)、本学Suda Hallにて国際教養大学卒業式・専門職大学院修了式を挙行しました。式は約3年ぶりに対面形式で実施され、卒業生161名と修了生22名が新たな一歩を踏み出しました。

新型コロナウイルス感染症対策のため、会場では卒業生・修了生が間隔をあけて着席し、式の様子はオンラインで中継されました。入構を許可された卒業生・修了生のご家族は本学の大教室であるコベルコホールから、また、来賓の皆様にも全国・世界各地からオンラインでご参列いただきました。

学位記授与後、モンテ・カセム学長が本学を巣立つ卒業生・修了生に向けて式辞を述べました。

カセム学長が壇上で式辞を述べている写真

カセム学長による式辞

「困難の中にあってもAIU生たちが尊厳と規律をもって、この事態に対応している姿を私は見てきました。そんな皆さんの不屈の精神もまた、称えられるべきでしょう。」と学生を労った学長は、ネットワーク化が高度に進んだ今の社会について触れながら「皆さんは、変化が常態化する世界で決断力を求められるようになります。」「遠い国の出来事は即座に私たちの手元に届けられ、科学技術の進歩は、私たちの倫理的な境界線に対してこれまでなかった問いを投げかけるでしょう。」「普段我々は不完全であることを称賛しませんが、不完全さこそが、我々の中に、共感する気持ちを育み、多様性を受け入れ、その過程で、思いやりのあるつながりや多様で誰もが自信を持って輝ける社会を作ることができるのです。本学が誇るリベラルアーツ教育の成果として、他者との関わりの中で、人間の崇高な本能が前面に出てくるように努めてください。」と学生たちを激励し、結びに「AIUがいつまでも皆さんの第2のふるさとであることを忘れないでください。私はAIUの仲間たちとともに、皆さんがこれから必ずや直面するであろう多くの苦難を乗り越え、成功を収めることを願っています。」と送り出しました。

続いて、卒業生を代表して元木 愛さんが、修了生を代表して萩原 亘祐さんが挨拶をしました。以下、抜粋してご紹介します。

卒業生代表の元木さんが壇上でスピーチしている写真

卒業生代表の元木 愛さん

元木 愛さん(国際教養学部グローバル・スタディズ課程)

「AIUでの4年間は刺激にあふれた毎日でした。AIUの持つ最も大きな魅力は、日本中だけでなく世界中から様々な価値観やバックグラウンドをもった人々が集まることです。様々な価値観を持つ人々との交流は楽しいことだけでなく、困惑することや困難なことも多かったですが、それ以上に今までは知らなかった人々、世界に触れられる喜びに魅了され、周囲の人々から多くの刺激を受け成長の糧にすることができました。」

「一方、私たちの最後の2年間は新型コロナウイルス感染症の流行に翻弄され続けた日々でした。 特に影響をうけたのは留学で、私自身も留学先であるアメリカから途中帰国を余儀なくされ、 3カ月間で留学を終えざるをえませんでした。AIUでの生活の醍醐味ともいえる1年間の留学を満足のいく形で完了できなかったことは、未だに悔やまれます。また、オンライン授業では慣れない部分も多く、不満や不安をおぼえたこともありました。」

「しかし、このように未曾有の危機の中でも、先生方は私たちに今できる最高の学びを提供しようと尽力してくださいました。コロナ禍で多くの困難はありましたが、 決してマイナスなことばかりではありませんでした。オンライン授業では、対面ならば交流がなかったかもしれない学生と議論を交わす機会を得られました。また、留学期間が短縮されたことにより、本来は留学中のはずの夏休みにインターンに参加するなど、自分の将来について深く考える時間を持つこともできました。」

「コロナウイルスによる苦しい日々は、一見困難なことばかりに見える状況にも、常に光はあること、そしてその光に敏感に気づき、大切にしてゆく力の重要さに気づかせてくれました。これから先の将来、今まで経験したことが無いような危機が襲ってくることもあると思います。しかし、どのような苦境に立たされたとしても、常に柔軟な考えを持ち、少しの光を大事に出来る人間でありたいと思います。」

「AIUでの日々は私たちに Global Leaderとして日本国内だけでなく世界で活躍するための翼を授けてくれました。これまで悩みもがいてきた日々さえも、いつか私の人生の大きな糧となると信じています。皆様と過ごした4年間は私の一生の宝物です。」

修了生代表の萩原 亘祐さんが壇上でスピーチしている写真

修了生代表の萩原 亘祐さん

萩原 亘祐さん(専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科 英語教育実践領域)

「私は奈良県で英語教員として勤務していました。英語でのコミュニケーションを重視した授業を行いたいと願っていた私にとって、国際教養大学の大学院での学びは多くの気づきと経験を与えてくれるものでした。」

「この2年間の学びで私が特に印象に残っていることは、どの授業も理論に基づいた実践を最重視していたことです。そのため、私自身も『実際にどうやってこれを教えるか?』、 『自分の以前の生徒は、この指導法教材にどう反応するだろうか?』という視点を常に持って研究に取り組むことができました。こうした『軸のある学び』を通して、柔軟な実践力を養うことができました。理論と実践の融合を掲げ、学生自らが経験する機会を与えてくれた大学院での学びに感謝しています。」

「私たちの学生生活は、先の見えないものでした。新型コロナウイルス感染症の影響で、すべての授業がオンライン授業となり、教授や友人たちにも直接会うことができなくなりました。これまで当たり前だと思っていたことが、当たり前では無くなりました。誰も予測がつかない状況になってしまい、『どうなってしまうのだろう』と本気で悩んだこともありました。」

「しかし今、私の心は、大きな達成感と満足感で溢れています。 それは、たとえキャンパスに集まれない状況でも、AIUのコミュニティが強い団結力を発揮し、一人ひとりの学生が高い志を持って、互いに刺激し励まし合い、学業に取り組んできたからだと思います。教授陣の工夫を凝らしたオンライン授業は私たちの好奇心を掴むものでした。日本全国・世界各地からクラスメイトが積極的にディスカッションに参加してくれたおかげで、学びを深めることができました。 周りの人と協力し、同じ志を持って一生懸命に取り組むことによって、大きな壁を乗り切ることができたと思っています。」

「これから先、 私たちはそれぞれの分野のプロフェッショナルとして生きていくことになります。 AIUで培った高度な実践力を発揮していきましょう。 皆様のご活躍をお祈り申し上げます。」

式の最後には、渡辺 玲子 特任教授(ヴァイオリン)と坂野 伊都子さん(ピアノ)による祝賀曲演奏が行われ、卒業式は厳かに幕を閉じました。

式典後記念撮影時の帽子投げの様子

※実際の式辞やスピーチは英語で行われていますが、ここでは要約して日本語訳を掲載しています。