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私の留学レポート:ノルウェー・オスロ大学 〜今村 涼太さん(1)〜

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200ある海外提携大学の中から選択します。この「私の留学レポート」は、今まさに留学中の学生に、現地の様子や留学中の挑戦を、自分の言葉でレポートしてもらう企画です。

今回は、ノルウェーに留学中の今村 涼太(いまむら りょうた)さんのレポートをご紹介します。

皆さんこんにちは!2020年度春入学の今村 涼太です。北海道札幌市出身です。AIUではグローバル・スタディズ課程に所属しており、2022年1月からノルウェーのオスロ大学に留学しています。海外に数週間程度滞在した経験があるだけで、長期の留学は今回が初めてです。

今村さんと現地留学生の写真
週末にはホームパーティをすることが多い。写真右端が今村さん

英語の歴史をより深く学べる地へ

言語学習が好きで、これまでフランス語、古典ラテン語、ロシア語、プロヴァンス語など、複数のヨーロッパ言語に触れてきました。留学中にも新たな言語を習得しつつ、今まで学習してきた言語へもアクセスできるヨーロッパで学びたいという思いがありました。2021年秋学期に言語学概論や社会言語学の授業を履修したことで、英語とその他の言語の関係に興味を持ち始めました。そのため、留学先では英語の歴史を学びたいと思い、フランス語やラテン語といったロマンス語系と並んで英語への影響が強いと言われているゲルマン語系の言語圏への留学を希望しました。また、休暇を利用して国内外へ旅行に行ける交通の要所でありながら、ハイキングなどで自然と触れ合うことのできる環境があるというオスロの立地にも惹かれました。

ブリッゲン倉庫群の写真
ベルゲンのブリッゲン倉庫群。週末など時間があれば旅行をしています

ノルウェーだからこその学び

ノルウェーについて理解を深めるため、留学生向けのノルウェー語の授業とノルウェーの社会と文化に関する授業を履修しています。ノルウェー語の授業以外は英語で開講されています。英語の歴史についての授業では、英語がどのようにして現在の英語になったのかを様々な側面から学んでいます。中世北欧の文化交流史の授業では、北欧文化圏の代名詞とも言えるヴァイキングの活動によって北欧文化と大陸文化が相互にどのように影響を与え合っていたのかを複数の国に残る中世の記録や物語、文学作品をヒントに思索を深めています。どの授業もノルウェーに来たからこそ学べる内容で、膨大な量の課題や難しい内容に苦心することはありながらも、常に知的好奇心が刺激されるので充実した日々を送っています。

ヴィーゲラン彫刻公園の写真
ヴィーゲラン彫刻公園。晴れた週末には散歩をするのがノルウェー流。

トロムソでの忘れがたい一日

次いつノルウェーに来ることができるかわからないので、国内各地に足を運んでいますが、北極圏最大都市トロムソでの体験は忘れがたい思い出です。氷河が作り出した雄大な景色を眺めながら10匹のハスキーが引くソリに乗り、トナカイの肉を使用したサーミ族の伝統料理「ビードス」をいただき、夜には満天の星空の下でキャンプファイヤーをしながらオーロラを見るという日本では絶対に味わうことのできない異世界にいるような体験をした濃厚な一日でした。

オーロラを背に手を広げる今村さんの写真
トロムソ近くのフィヨルドで見たオーロラに大興奮。

新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢など様々な不安がある中、こうして留学できていることに感謝しています。学業はもちろん、あらゆる面で留学中にしか得られない経験を積みたいと思います。学習ツールとして英語を使用をすることには慣れてきましたが、留学生との交流はコロナ禍においては少なかったので、日本語以外の言語(英語やノルウェー語)で生活する力を磨いていきたいです。ノルウェーの人たちは英語が堪能なので、彼らのような水準で英語を使えるようになると同時に、彼らの言語で意思疎通を図れるようになるというのが目標です。また、学生である以上、学業が中心の生活になるのは当然ですが、慣れ親しんだ日本から遠く離れた場所に来たので、国内外の様々な場所に足を運び、五感で未知に触れ、自分の世界を拡げていきたいです。

フィヨルドの写真
ネーロイフィヨルド。日本では見られない大迫力の地形でした

もう一歩踏み込んだ自分の意見を構築してみよう

留学先大学の授業についていくための英語力や課題の量への耐性は、AIUで十分に培われます。ただ、世の中のことに対してもっと自分の考えを持って意見を言えるようになっておけばよかったと強く感じています。様々な考えに触れ、多角的・客観的に物事を把握しようとする姿勢はAIUの入試や授業で養成されますが、その上で、自分自身は世の中のあらゆる事象をどのように感じ、どのように考えるのか、もう一歩踏み込むことが必要だと思います。今までの私は世の中の問題を俯瞰的に理解して解決策を探しがちであったため、どこかその問題を他人事として捉えていたなと気付かされました。政治に無関心な若者が多いことが問題視される日本ですが、日々の生活の中で自分自身の思想や経験を基に自らの意見を構築しようと意識することがまずは必要だと思います。ざっくばらんな会話においても”What do you think?”という質問が頻繁に飛んでくるのが留学です。

国際センターから

AIUの提携校は世界51か国・地域にあり、英語以外の言語や文化に関する授業を履修することも可能です。言語だけでなく、文化や歴史の変遷を学びながら広く学問の探究を続けることで、異世界を感じる環境が消滅したり破壊されずに存在していることの意味や価値をより深く理解したにちがいありません。学問と体験の相乗効果が得られるのがまさに留学の醍醐味ですね。