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私の留学レポート:カナダ・トロント大学 〜中尾 智さん(2)
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200ある海外提携大学の中から選択します。この「私の留学レポート」は、今まさに留学中の学生に、現地の様子や留学中の挑戦を、自分の言葉でレポートしてもらう企画です。
今回は、カナダに留学中の中尾 智(なかお さとし)さんのレポート第2弾をご紹介します。
留学してよかったこと、苦労したこと
留学してよかったことは、日々の生活を通して現地の文化を学べることだと思います。AIUの交換留学は勉強の側面もありますが、「生活」も大きな醍醐味です。トロントのスーパーや市場では野菜や果物が山積みになって売られていて、過剰な包装を減らしたり、ハラール食材(イスラム教を信仰する人たちが食べられるもの)の売り場を充実させていたりと、毎日生活する中で様々な気づきがあり、生活の側面から文化を学ぶことができます。苦労したことは、現地でのコロナ禍への対応と情報収集です。トロントでは感染症対策として、外食の際などには自治体から発行されるワクチンQRパスが求められます。現地のワクチンパスを取得するため、主体的に行動する必要があり、日本のワクチン接種証明をオンラインで登録し、現地の保健局に問い合わせ、ようやくワクチンQRパスを手に入れました。自力で調べて行動する大切さを実感しました。
課外活動のチャンスはキャンパスの外にも
AIUではバレーボール部に所属していて、留学先でもバレーボールを続けたいと考えていました。ある日近所を散歩していると偶然、地域のコミュニティセンターの体育館でバレーボールをやっている人たちを見かけて、思い切って参加することにしました。そこでは年齢や所属に関係なく地域の人々が集まってバレーボールを楽しんでいるので、多様なバックグラウンドを持つ友達を作ることができました。試合中に良いプレーがあれば、たとえ相手チームであっても拍手を送るなど、声をかけて褒め合う文化がそこにはあり、とても素敵だなと思いました。
トロントで見た世界情勢の波
2月下旬、ウクライナ侵攻に反対する大規模なデモがトロントの中心部でありました。カナダはロシアに次いで世界で2番目にウクライナ系住民の人口が多い国です。そのため、大規模な抗議活動が展開され、街中のいたるところでウクライナ国旗が掲げられていました。ウクライナ系住民だけではなく、トロントの多様なバックグラウンドを持つ住民が積極的にデモに参加していたのが印象的でした。大きく変化する世界情勢の波を留学先で目の当たりにすることができ、留学の意義が深まりました。
留学の楽しみは、留学前から始まっている
留学先での楽しみ方について少し触れたいと思います。「○○(留学先の国・地域)に行ったらこんなことがしたい」というモチベーションを持っていると留学がより充実したものになるかと思います。僕の場合、トロント大学への留学が決まってから、現地でどんなことがしたいか想像(妄想?)していました。僕は野球観戦が好きなので、本場のメジャーリーグの試合を見に行きたいとずっと思っていました。4月上旬になり、ようやくシーズンが始まって試合を観に行くことができました。昨年度エンゼルスの大谷 翔平選手とホームラン王争いをし、見事ホームラン王を獲得したトロント・ブルージェイズのゲレーロJr.選手のホームランを生で見られた時の感動はものすごく大きかったです。たとえそれが大きな夢でも小さな夢でも、留学先で叶えることがなにか特別感に繋がるように思います。是非みなさんも留学先でこんなことがしたい!といった想像をしてみてください。きっと留学の楽しみが広がるはずです。
国際センターから
留学中の学びの場は教室だけではなく、留学先の地域コミュニティとの交流や異文化の中の日常生活にも広がっています。留学先を考える際、何を勉強したいかを考えることは重要ですが、どんな環境でどんな体験をしてみたいかを考えるのも同様に重要な要素です。
国際教養大学ではコロナ禍で2年間、対面での交換留学が実施できませんでしたが、日本の入国制限緩和に合わせて今年5月以降、留学生の受け入れも再開できる見通しです。
英語版ウェブサイトでは、そんな留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。オンライン留学の期間も含めて、定期的に更新していますので、ぜひこちらもご覧ください。