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【特別講演会】2022年度「Islam and the Greater Middle East — Is its Golden Age a distant memory, or a possible future?」(国連訓練調査研究所 広島事務所 ナスリーン・アジミ博士)

国際教養大学では、2020年度から、「ポスト新型コロナウイルスを見据え、今、考えるべきこと、そしてこれからの社会のあり方」を共通テーマとした、国内外の有識者によるオンライン講演会を開催しています。

5月18日(水)、国連訓練調査研究所(UNITAR)広島事務所のナスリーン・アジミ博士をお迎えし、「Islam and the Greater Middle East — Is its Golden Age a distant memory, or a possible future?(参考訳:イスラムと大中東地域 ー その黄金時代は遠い昔の記憶か、それとも起こり得る未来か?)」というテーマでご講演いただきました。

Zoom上でスライドについて説明するアジミ博士のスクリーンショット

中東地域の「黄金時代」について説明されるアジミ博士(左下)

アジミ博士は、平和構築と紛争後の復興支援に係る専門家としてUNITARのシニア・アドバイザーを務めるほか、Green Legacy Hiroshimaの共同創設者として、広島への原爆投下を生き延びた樹木の種や苗木を世界中に広め植樹する世界的なキャンペーンを展開しておられます。

講演会の導入では、日本は中東地域への関心が高くないと述べ、同地域はイスラム教に加えてキリスト教やユダヤ教などの発祥地でもあり、複数のアイデンティティが対立していることの複雑性や、地理的・政治的・経済的背景を含めて理解することの重要性に触れられました。

続いて、今日においてイスラム教徒の人口が多いのは中東ではなくアジアであり、中でもインドネシアやパキスタン、バングラデシュなどでは女性のリーダーが輩出されていること、西アフリカのイスラム圏では寛容で調和的な社会が実現していることなどを説明されました。また、それらの変革を、イスラム世界全体でリードするような中央集権が存在しないことに言及されました。

質問した学生・教員と質問に答えるアジミ博士の画像

質疑応答の様子

質疑応答では、多様性が認められているイスラムコミュニティの事例や、女性の研究者・活動家が中東社会に与えている影響などについて、活発な議論が交わされ、アジミ博士は、

この数十年は特に中東地域にとって苦しい時代であるけれど、文明の歴史で考えればわずかな期間であり、様々な立場から声を上げることで必ず情勢は変わっていく。AIUの学生たちも、存分に勉強に励める平和な社会にいることに感謝し、自分にできることを見つけてほしい。

と希望に満ちたメッセージを残してくださいました。

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