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私の留学レポート:ノルウェー・オスロ大学 〜今村 涼太さん(2)〜

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200ある海外提携大学の中から選択します。この「私の留学レポート」は、今まさに留学中の学生に、現地の様子や留学中の挑戦を、自分の言葉でレポートしてもらう企画です。

今回は、ノルウェーに留学中の今村 涼太(いまむら りょうた)さんのレポート第2弾をご紹介します。

  • 前回の今村さんのレポート一覧はこちら
  • これまでの「私の留学レポート」シリーズはこちらからご覧ください。
交流会の写真。料理が並んだ机を皆で囲っている。
日本人学生とロシア人学生の交流会。この日は日本食を振る舞いました。(写真右奥が今村さん)

ノルウェーに留学したからこそ得られた学びと経験

総合大学であるオスロ大学では、AIUよりも専門的な授業が多分野で展開されているため、自分の学問的な興味が深くなっていることを感じています。私はAIUに入学してから様々な言語を学修し、言語学概論や社会言語学の授業も履修するなど、言語学に興味がありました。オスロ大学では、英語という言語に焦点を当てながら、理論的にその成り立ちを学んでいます。古代における英語は、実は現代のノルウェー語と類似点が多いなど、ノルウェーに留学しているからこその学びも得られています。

クロンボー城の写真
英語の歴史についての授業で扱ったハムレットの舞台、クロンボー城(デンマーク)にも足を運びました。

また、シェンゲン協定(ヨーロッパ諸国間で出入国審査なしに自由に国境を越えることを認める協定)内の国に留学しているため、ヨーロッパ諸国に簡単に移動することができます。そして25歳以下のヨーロッパ在住者は、フランス・パリのルーブル美術館へ、なんと無料で入館できるなど、ヨーロッパで生活しているからこその恩恵も得ることができます。世界レベルの名作に手軽にアクセスできるのは、ヨーロッパ留学ならではの利点かと思います。

「サモトラケのニケ」の写真
ルーブル美術館で個人的に最も気に入ったのは「サモトラケのニケ」

学業面と環境面での苦労

学業面では、ノルウェーや他のヨーロッパ諸国で育った人たちが触れてきた物語や歴史、文化などを知らなかったので、授業中に先生が提示する具体例の意味が分からず、ディスカッションについていくのが大変でした。
環境面では、ノルウェーの日照時間と体内時計のズレに苦しんでいます。1月は10時に明るくなって16時に暗くなっていたのですが、最近では4時には明るくなり23時近くまで外が明るい状態です。高緯度地域で生活する者の定めなのかもしれませんが、生活リズムの維持には苦労しています。

フィヨルドに面した崖の写真
映画「ミッション:インポッシブル」の撮影舞台にもなった、ノルウェーの大自然

秋学期に挑戦してみたいこと

平日は授業や課題に追われ、週末はノルウェー国内外を旅行していたため、サークルなどの課外活動に参加することはほぼありませんでした。ただその結果、授業外で特に現地のノルウェー人の学生と過ごす時間が少なかったと感じているので、秋学期は中学・高校でやっていた柔道のサークルに参加しようと思っています。日本のスポーツ文化が、海外でどのように伝わっているのか感じたいと思います。

パレードの写真。観客が沿道を埋め尽くす中、楽器を演奏する人の行列が道の限り続いている。
5月17日ナショナルデーに開催されたパレード、大盛況でした。

留学を機に深まったAIU生との繋がりと、故郷への思い

同じ時期に留学をしているAIU生と集まり、お互いの経験を語り合えたことは非常に刺激的な時間でした。約2年前にコロナ禍でスタートした私の大学生活は、オンライン授業が中心で課外活動も少なく、留学生はおろかAIU生との交流も限られていました。そのため、オンライン授業やSNS上でしか関わりのなかったAIU生と実際に対面して、お互いの留学生活のエピソードを共有したり、AIUでの生活を回顧したりするというのも新鮮でした。秋田でともに過ごしていたAIU生が、異国の地で様々な経験を積んでいることを聞くと、自分ももっともっと頑張ろうと思えます。別れ際に「秋田に帰ったらまた食事しに行こう」と約束することで、留学を機に今後も続いていく関係性を構築できるので、残りの留学生活のモチベーションを上げることができました。もちろん留学先での生活も刺激的で楽しいですが、自分にとってAIUと秋田、日本がこんなにも大きなものだったのだと実感し、故郷の良さに気づくことができるのも留学の醍醐味ではないでしょうか。

食事会の写真
アムステルダムにて、AIU生と食事して語り合いました。(写真左手前が今村さん)

留学生活の前半を振り返って

留学前は、留学すれば言語能力や人間関係が自動的に発展していくものだと思っていました。しかし実際は、自分から周囲とコミュニケーションを取らなければそうはなれません。当たり前のことと思うかもしれませんが、私はどこか自分の中で甘えがあったために、この半年で満足のいくほどの成長をすることはできませんでした。留学の機会を手にしただけで満足せず、その機会を生かすも殺すも自分次第だと肝に銘じて、ゴールに到達するために主体的に行動するべきだなと痛感しています。幸いにも残り半年の留学生活があるので、自分自身を改めて、より実り多き日々を過ごしていきたいと思います。

国際センターから一言

本学の留学は1年間という長丁場だからこそ、途中で立ち止まり、反省や改善を重ねて目標を達成することができます。また、国や大学は違っても同時期にたくさんの仲間が留学をしているので、それぞれの経験を共有して考えを深めることもできます。残り半年、今村さんがどのように自分の留学を作り上げていくのかとても楽しみです!

国際教養大学ではコロナ禍で2年間、対面での交換留学が実施できませんでしたが、日本の入国制限緩和に合わせて今年5月以降、留学生の受け入れを再開しています。

英語版ウェブサイトでは、そんな留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。オンライン留学の期間も含めて、定期的に更新していますので、ぜひこちらもご覧ください。

Student Voice