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私の留学レポート:ブルネイ/ブルネイ・ダルサラーム大学 〜阿部 真千さん(3)~

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。この「私の留学レポート」は、今まさに留学中の学生に、現地の様子や留学中の挑戦を、自分の言葉でレポートしてもらう企画です。

今回は、ブルネイに留学中の阿部 真千(あべ まゆき)さんのレポート最終回をご紹介します。

噴水の前で友人とほほ笑む阿部さんの写真
「ヤヤサン・ショッピングコンプレックス」近くの広場での一枚。多くの友人に恵まれたのも留学での収穫です。

参加することで広がる輪とあたたかな気持ち

印象に残っているのは、ラマダン(断食月)明けの「ハリラヤ」と呼ばれるイスラム教徒にとって1年で最も盛大にお祝いする祝日に、オープンハウスへ行ったことです。ブルネイでは、ラマダン明けから約1カ月の間、家族や友人、近所の人などを自宅に呼び、食事を用意してお祝いをするオープンハウスという行事があります。友人に誘われ、何回かオープンハウスに行ったのですが、多くの人が次々にやって来て、食事を楽しみながら一緒にお祝いをするという文化は新鮮で、素敵だなと思いました。また、ある友人の親戚の集まりに招待してもらったときには、日本の学生である私の訪問を歓迎してくれて、良い思い出を作って欲しいと、様々な伝統料理やお菓子を振舞ってくれました。料理やお菓子を食べたり、ブルネイでの経験を話したりするだけで嬉しそうな表情を浮かべ、国籍や文化が違っても温かく迎え入れてくれる、素敵な方々に出会えたことがとても嬉しかったです。イスラム教の国であるブルネイの文化を体験することができたことだけではなく、このようにブルネイの人の優しさや温かさに触れたことが、より一層この出来事を印象的にしました。

ラマダンマーケットの様子
ラマダン(断食月)の期間に開かれるラマダンマーケット。夕方になると多くの人で賑わいます。

多文化共生の鍵は寛容性

留学で成長できたことは、日本とは全く異なる文化や価値観に触れるなかで、自分の視野を広げられたことです。留学前は文化の違いに戸惑うのではないかと心配しましたが、今まで知らなかったことに出会うたびに好奇心が刺激され、日本との違いを楽しみながら生活することができました。現地の学生と関わり、自分にとっての当たり前が打ち崩される経験や異なる文化を知ることを通して、違いを受け入れる寛容性が高まるのを感じました。それと同時に、日本を異なる角度から見るきっかけにもなり、日本のことをもっと良く知りたいと思うようになりました。もともとアクティブではなかったのですが、帰国後は積極的に外の世界に飛び出し、様々なことに挑戦して自分の視野を広げていく姿勢を大切にしたいと思います。

一方、先を見据えて、早めに行動を起こさなかったことが留学を振り返っての反省点です。私は留学先を決める少し前の段階になってから、専攻分野や大学を具体的に検討し始めました。AIUは提携校が多く、履修科目や大学周辺の情報などを調べるのに時間がかかります。1・2年次の段階から留学先を検討しておく重要性を痛感しました。これは、大学によって留学に必要な条件(英語能力試験の種類や点数、GPAなど)が違うということからも、非常に大事なことだと思います。そのため、これから留学をするAIU生の皆さんやAIUへの入学を検討している皆さんは、目の前の学業に集中しつつも、自分がどの分野の学びを深めたいのか、どういった基準で留学先を決めるのかを、早い段階から少しずつ考えておくと良いと思います。

イスラム教の礼拝堂の写真
「ニューモスク」と呼ばれている、現国王(ハサナル・ボルキア国王)が建てたイスラム教の礼拝堂です

思い切って最初の一歩を踏み出して欲しい

帰国後は、周囲の人やAIU生にブルネイのことを広めていきたいです。私もそうでしたが、留学前にブルネイに留学することを周囲に伝えると、どのような国なのかを知っている人はほとんどいませんでした。これから留学するAIU生の中には、あまり馴染みのない国に行くことにハードルを感じる人や、そもそもブルネイが留学先としてあることを知らない人が多いのではないかと思います。自分の留学体験を伝えることで、ブルネイのことをより多くの人に知ってもらいたいですし、留学先の選択肢の一つとして考えるAIU生が増えたらいいなと思います。

今回の留学で、思い切ってやってみること、自分の可能性に挑戦することの大切さを学びました。私にとっては、留学自体も、馴染みのない国での生活も、異なる文化をもつ人とのコミュニケーションも、何もかもが挑戦でした。今まで積極的にそうした「変化」の中に身を置いてこなかったため、最初は一歩を踏み出すためにかなりの勇気が必要でした。それでも思い切って飛び込んでみると、自分の世界がどんどん広がっていき、刺激的な経験をすることができました。もちろん上手くいくことばかりではありませんでしたが、だからこそ困難を乗り越えるたびに成長し、自分に自信をつけることができたように思います。これから留学するAIU生の皆さんにも、自分の可能性に挑戦し、充実した留学経験をして欲しいです。最後になりますが、ブルネイ・ダルサラーム大学やAIUの先生方、国際センターの方々、家族、そして私の留学に関わってくれた全ての人に心から感謝しています。本当にありがとうございました。

インド料理の写真
友人と一緒に食べに行ったインド料理。ブルネイでの食事が様々な国の料理に興味をもつきっかけになりました。

ホテルのロビーの写真
The Empire Brunei(エンパイアブルネイ)という有名なホテルです。

国際センターから一言

ブルネイというあまり馴染みのない国のことを伝えてくださる阿部さんのレポートが毎回楽しみでした。そんな阿部さんの留学が終わったことに対し、安堵感と共になぜか寂しさが押し寄せてきます。AIUの生活は留学前が第一章、留学は第二章、帰国すると最終章が始まります。留学は終わりましたが、阿部さんの最終章はこれからです。最終章で阿部さんがどんなフィナーレに向かって行くのか、今後のAIUでの活躍を期待しています。

英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。

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