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AIU TOPICS

私のオススメ授業紹介:関係人口論(清水 悠貴さん)

国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。


また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。


この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。
今回は清水 悠貴(しみず ゆうき)さんのオススメ授業をご紹介します。

清水 悠貴さんの写真
清水 悠貴さん

皆さん、こんにちは。北海道出身の清水 悠貴です。今回紹介するオススメ授業第1弾は「関係人口論 」です!

科目情報

  • SOC327 関係人口論
  • 教員:工藤 尚悟 准教授
  • 単位数:3単位
  • ※本科目は2023年度の受講時はSOC326 関係人口論(JR東日本寄附講座)で開講されたものです。

選んだ理由

1年次の時に履修した「地域発展論」をきっかけに地方創生に興味を持ち、知識をより一層深めたいと思いました。地方創生を考える上では欠かすことのできない存在である「関係人口」について、深く学習する機会は日本の他の大学を見てもなかなかないと思い、履修することにしました。

この授業のオススメポイント

地方創世とは ~ 地方の「豊かさ」を考える

地方創生と聞いて皆さんは、最初に何を思い浮かべますか?「お祭りを開催して観光客を…」「定住しなくてもいいから定期的に帰ってきてくれる人を…」僕もこのように考えていました。そのため、どのようにして過疎地域に人を呼び寄せるか、定住させるかの事例を学習していくものだと思っていました。もちろん、その事例について深堀りしていく時間もあります。しかし、授業の前半に行ったディスカッションのテーマは「豊かさとは、あなたにとって何ですか?」というものでした。

地方創生を実現する上で、その地域の魅力を効果的に高めるためには、まず豊かさや発展の本当の意味についてきちんと考え、明確化する必要があります。この授業を履修する前までは、このような視点は僕にはなく、地方創生について、改めてより深く考えさせられるきっかけとなりました。

たくさんの人と結びつきを!自分の将来を考えてみる

この授業では、フィールドワークとして「ソウゾウの森会議」に参加しました。この会議は秋田にある秋田県立大学、秋田公立美術大学、国際教養大学の3大学連携プロジェクトです。参加者には、秋田県内で活躍する地域おこし協力隊の方をはじめ、ロボット研究を行う都内の大学教授、大型書店の役員の方など、たくさんの方がいました。このソウゾウの森会議では、私たち学生を含めた参加者がいくつかのグループに分かれ、各々のテーマに沿って自分が感じたこと・思ったことを話し合う時間が設けられ、その後、自由にいろいろな分野の方々と交流することもできます。僕はグループでの話し合いの後に、個人的に大型書店の役員の方に話しかけに行き、自分の今後のキャリアの不安や夢についてお話ししました。その方は親身に話を聞いてくださり、自分の今後のキャリアについて自然と整理できた気がしました。

このように講義形式の授業だけではなく、フィールドワークで、社会で活躍している方々のお話を聞き、会話できる機会を得て、たくさんの人と結びつきを作るというのは、なかなかない経験だと思います。学術的な知識だけではなく、自身の将来について深く考えられた経験というのも、この授業を履修して深く印象に残りました。

ソウゾウの森会議の様子
ソウゾウの森会議の様子

この授業をオススメしたい人は…

学生全員にオススメしたいです(笑)。講義形式の授業では、リーディングの内容を元に社会について深く考え、フィールドワークでは、たくさんの方とつながり、自分の未来について深く考える…このような授業は、なかなかないと思います!今までに学んだ他の授業や過去の経験をフルに活かすことができます!脳でたっぷり汗をかきましょう!

工藤 尚悟先生からのメッセージ

長期的な人口減少が進むなか、地方の将来像に関する議論が活発になっています。なかでも、地方創生や地域活性化のなかで「関係人口」が注目されています。関係人口とは、ビジネスや旅行などを通じた一時的な関わりだけでなく、地域課題の解決に資するような深い関わりを持つ人々を意味します。さらに、そうしたつながりが後に地方移住につながることも期待されています。しかし、関係人口を地方にとっての有用な人材と捉えることは、議論全体のごく一部に過ぎません。私たちが本質的に問われていることは、縮小しながら高齢化していくこの国で、何を「豊かさ」と捉え、どのような社会の変化を「発展」とするのか、ということです。この科目では、関係人口や地方移住という概念を入口に、人口減少時代の社会デザインを考えていきます。履修する皆さんには、これからグローバルイシューとなる少子化と高齢化を世界で最も早く経験しており、それに伴う変革が求められている日本という社会の設計思想について、リーディングやディスカッションからだけでなく、現場でのやり取りを踏まえて、深く考える時間を持って欲しいと思っています。