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私の留学レポート:ポルトガル・ISCTEリスボン大学~加持 悠良さん(1)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生一人ひとりのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、ポルトガルに留学中の加持 悠良(かもち ゆうすけ)さんのレポート第1弾をご紹介します。
みなさん、こんにちは!初めまして。香川県出身で2022年春入学の加持 悠良です。AIUではグローバル・ビジネス領域に所属しています。この度は、私の留学レポートを読んでいただき、ありがとうございます。これから3回にわたり、私の留学レポートを皆さんに紹介します。よろしくお願いします。
ISCTEリスボン大学の紹介
私は現在、ポルトガルの首都リスボンに位置する、ISCTE Business School(ISCTEビジネススクール)で日々学業に励んでいます。ISCTEビジネススクールはISCTE – University Institute of Lisbon(ISCTEリスボン大学)という総合大学の中の経済学部のようなものとお考え下さい。ISCTEリスボン大学は1972年に設立され、ISCTEビジネススクール以外にも、社会学・公共政策スクール、技術・建築スクール、社会科学・人文科学スクール、応用デジタル技術スクールといった単科大学で構成され、幅広い学問を学ぶことができます。AIUと交換留学の提携を結んでいるISCTEビジネススクールは、総学生数14,000人を超え、その内の約20%が留学生です。留学生の大半は、Erasmus+(エラスムス・プラス)という、EU加盟(候補)国の学生が利用できる留学プログラムを利用しています。そのため、日本から来る学生はほとんど見当たりません。大学寮はありますが住める人数に限りがあるため、抽選で入居者が決まります。私は抽選に漏れたため、大学側が推奨したサイトを通じて部屋を借りました。
留学先選びは3つの観点から
留学先を選ぶうえで、私は3つの観点を重視しました。1つ目は「景観」です。私は以前から、ヨーロッパ、特に西欧諸国の文化が織りなす風景に、漠然とした憧れのようなものを持っていました。海外経験が全くなかった私にとって、そうした風景は、写真の中のものでしかなく、いつか実際に見てみたいと思っていました。留学を機に、憧れだった景色を自分の目に焼きつけようと考え、留学先を西欧に絞りました。
次に重視したのは「物価」です。西欧は平均的にかなり物価が高いです。金銭面を考慮した私は、西欧でも比較的物価の安い国を有力候補としました。
また、初めて行く海外でトラブルに巻き込まれるのは避けたい、という思いから「治安の良さ」も重視しました。これらの希望が叶う国を絞っていった結果、第一候補として挙がってきたのがポルトガルでした。さらに留学先では、会計やマネジメントに関するより専門的な知識を得たいという思いから、ポルトガルの協定校の中でも、ISCTEビジネススクールを選ぶに至りました。
「演習型授業」で学ぶ楽しさを実感
ISCTEビジネススクールの授業スタイルは大きく分けて2つです。1つ目は、AIUの授業のように、ディスカッションやプレゼンテーションを通して、より深い学びや知識を身につけることを目的としたアクティブラーニング型です。2つ目は、理論を学び、問題演習を通して基礎を固めることを目的とする演習型です。私は、「Management Accounting(管理会計)」や「Fundamentals of Finance(財務基礎)」など、演習型の授業を多く受講しています。AIUでは留学前に受講することを強く推奨されている授業をほぼすべて履修したうえで留学に臨みましたが、基礎的な授業でも、知らない用語や複雑な計算手順があり、理解するのに時間を要しました。しかし、私自身、講義を聞くだけであったり、ディスカッションを通して学ぶよりも、自力で計算して問題を解くほうが肌に合っているため、演習型の授業内容が難しくても楽しく学べています。
留学準備中のハプニング
今回は、留学先での印象に残った出来事ではなく、留学準備中のハプニングについて紹介します。留学をする上で欠かせないのが、ビザの取得です。本来ビザ申請は時間に余裕をもって行うべきですが、部活や遊びを優先したばかりに、ビザ申請のため大使館への訪問予約を取ったのが、出発予定日の1か月ほど前でした。出発予定日を授業が始まる1週間ほど前に設定していたため、最悪の場合、予定日に遅れても、授業開始には間に合うだろうし、フライトと入居日の変更をすれば大丈夫だろうと考えていました。予約時間に遅れないように、ポルトガル大使館のある東京の麻布付近で前泊し、翌朝は早起きして、いざビザ取得へと意気込んで大使館に足を踏み入れました。受付の大使館職員に来た理由を説明すると、「担当者が来るまでお待ちください」と言われ、椅子に座って待つこと1時間。その後、受付の方がもう一言、「担当者が年末年始でお休みのため、年明けにもう一度来ていただけますか」。想定外の返答に頭が混乱しました。
これが、私の初めてのカルチャーショックだったかもしれません。仕方なく、その日は地元の香川に帰り、年明けにもう一度、東京の大使館を訪問することになりました。授業開始に間に合わないかもしれない、いろんな人に迷惑や心配をかけるかもしれない、と冷や汗をかきましたが、最終的には、無事にビザを取得でき、授業開始にも間に合いました。
この出来事から皆さんに伝えたいのは、文化が違えば考え方も違うということです。日本では休暇の予定があっても仕事が入れば、仕事をするのが当然と考える傾向があるかもしれません。しかし、それはあくまで日本の文化での考え方です。他国の文化では、これとは異なる考え方をすることもあるでしょう。異文化の考え方を謙虚に受け入れ、視野を広くすることも、留学をより良いものにする鍵になるかもしれません。とはいえ、そもそもビザ申請の準備を早めに進めていれば、このようなハプニングには遭遇しませんので、留学を控えている学生の皆さんは、計画的に準備を進めてください。
これから留学するAIUのみなさんへ
これから留学するみなさんにアドバイスするとすれば、「自分のしたいようにすればいい」ということでしょうか。留学中は思った以上にストレスが溜まりやすいです。旅行が好きな方は、気晴らしに観光地巡りもいいと思いますし、友人をたくさん作りたい方は、積極的に周囲に声をかけるのもいいと思います。私は、ポルトガルで調達できる食材を使って、いかに日本食をおいしく作るかを常に考えています。旅行好きな人たちには理解されないかもしれませんが、私は歩くのが疲れるという理由で旅行をあまりしません。それでも十分楽しい生活を送っています。周りに無理して合わせながら自分の行動を決めるより、自分のしたいことをすれば、ストレスを軽減し、心身の健康をコントロールすることができます。全く異なる環境にひとり投げ出されることに、最初は不安を感じるかもしれませんが、日々の生活の中に楽しみとなるルーティーンを組み込むと、いつの間にか不安も消え、新しい環境にも慣れるものだと、実際に留学してみて気がつきました。
国際センターからひと言
留学準備中のハプニングを、異文化理解への気づきにつなげ、気持ちを切り替え、そして無事にポルトガルでの留学生活を始められた加持さん。新たに気づいた気持ちの変化にも、工夫をしながらポジティブに順応し、楽しく毎日を過ごされている様子も感じます。これから始まる「憧れの国・ポルトガル」での学生生活。積極的に多くのことにチャレンジし、新しい自分発見の機会にもしてください。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。