お知らせ
【AIUデザインLABレポート】ワークショップを開催 ~「秋田」をテーマに事業アイデアを創造する~
2023年5月と6月にAIUデザインLAB 「デザイン思考ワークショップ(LAB 1)」を開催しました。本学の学生30名、県内企業の社会人29名の合計59名の方々にご参加いただきました。
どちらの回も「秋田の資源の活用」をメインテーマに据え、学生と社会人がチームを組み、2日間でデザイン思考のプロセスを体験しながら、新たなビジネスアイデアを創造することにチャレンジしました。
AIUデザインLABとは
AIUデザインLABは本学の学生と県内企業がチームを組み、企業や地域の課題解決のために協働することをコンセプトとしています。本プログラムではデザイン思考を学び、デザイン思考を利用してビジネスアイデアの創造や県内企業での活動を行っています。
デザイン思考とは
デザイナーがデザインを考案する際に用いるプロセスを、ビジネス上の課題解決のために活用する考え方のこと。プログラム内の活動では、①共感および理解、②問題定義、③アイデア創造、④プロトタイプ、⑤テストの5つのプロセスを活用しています。
「デザイン思考ワークショップ(LAB 1)」では、県内企業の方を招いてデザイン思考を学ぶワークショップを行っています。デザイン思考を用いて、ビジネスアイデアの種を生み出します。本ワークショップはデザイン思考を学ぶ企業研修の場としてもご活用いただけます。
ワークショップはそれぞれ以下のテーマで開催しました。
- 【第1回】「秋田の風土、資源資源をフル活用した事業アイデアを創造せよ!」
- 開催日:2023年5月20日(土)、21日(日)
- 【第2回】「世界中の誰もが訪れたくなる秋田を実現する事業アイデアを創造せよ!」
- 開催日:2023年6月16日(金)、17日(土)
ワークショップではデザイン思考のプロセスに沿って、それぞれのワークやプレゼンテーションを行いました。
プロセス1. 共感(Empathize)
まず、デザイン思考のはじめのプロセスである「共感」について考えるワークを行いました。ユーザーをより具体的にイメージするため、「共感マップ」と呼ばれるフレームワークを使って、対象者の思考や気持ち、関心を理解し、共感を具体的に言語化して付箋に書き出していく作業をしました。
本ワークショップでは、「秋田に興味・関心が高いのはどんな人?」「秋田へ高頻度で訪れているのはどんな人?なぜそんなに来てくれるのか?」「秋田に現在興味・関心がないのはどんな人?」などの問いを設定し、グループで意見を出し合いながら共感マップを描きました。
プロセス2. 問題定義(Define)
作成した共感マップをもとに、各グループがイメージした顧客に対し、「我々はどうすれば『困っている状況』を『理想的な状況』にできるだろうか?」と何度も問いかけながら潜在する問題を明確にしていきます。定義する問題の具体性が高いほどアイデア発想時の制約が増えますが、抽象度が高くなるとアイデアの制約がなくなり、発想が幅広くなりすぎて結論が出せません。この部分が難しく、学生や社会人の皆さんは定義を決めることに最も悩んでいた様子でした。一度定義したものをもう一度共感マップに立ち戻って練り直す、そんなシーンもみられました。
プロセス3. アイデア創造(Ideate)
実現したい状態を定義したところで、ブレインストーミングを行いアイデアをとにかくたくさん出す作業をしました。出したアイデアのグループ分けとブレインストーミングを繰り返すことで、「アイデアの発散と収束」を繰り返します。デザイン思考では、発散と収束のプロセスを何度も行き来しながら、アイデアの解像度を高めていきます。
今回のワークショップでは、「思いっきりアナログな思考に振り切ってアイデアを出してみよう」「思いっきりデジタルな思考に振り切ってアイデアを出してみよう」など、様々なパターンのブレインストーミングを数セット行いました。
プロセス4. アイデア発表(Prototype)
チームで言語化したアイデアをまとめ、他のチームのメンバーへプレゼンテーションしました。他のチームからフィードバックをもらいながら、チームのアイデアを昇華させていきました。
ビジネスモデルの検討
2日目は、アイデアを社会で実現するために、ビジネスモデルを描くことからスタートしました。言語化したアイデアをビジネスとして組み立てていくことはとても難しく、各チームが、共感マップで想像したユーザーのニーズへ立ち返り、組み立て直す、という作業を繰り返していました。
最終プレゼンテーション
2日間で練り上げたビジネスアイデアを各グループが発表しました。発表されたアイデアの一部をご紹介します。
- 「どこでもあきたドア」
秋田の風土・資源をコンテナに詰め込んで、お届けするサービス - 「来訪神が日常に刺激をもたらすExitrip」
なまはげが、日々の生活習慣に取り入れられる遊びやタスクを指令してくるアプリ - 「マッチングアグリ」
親も子どもも楽しめる農泊マッチングサービス - 「スローライフ修行」
内面美を磨くことをテーマにした、秋田の食材を活用した食事配送&県内ツアー - 「Akita Identity Program」
大学生と県内企業のインターンマッチングプログラム - 「秋田自然由来の化粧品Bellenige」
秋田の資源を生かした化粧品D2Cと、ユーザーコミュニティ限定のツアー - 「domonAkita」
秋田に関わりたい県外のシニア人材をプロデュース
参加者の皆さんからは次のような感想が寄せられました。
企業の声
弊社は県内では老舗の企業となった。今回、新鮮な思考法と若い世代の価値観やアイデアに触れられた。これまでの考え方に囚われず、仕事に生かして行きたいと思った。
自分たちが作って売りたいと考える商品と、消費者のニーズにはギャップがある。消費者の思考や習慣について想像し、商品作りを行っていきたいと改めて考える契機になった。
アイデアを前に進めてはユーザーの願いへ立ち戻るプロセスが苦しかったが、このチームでやり切れて、仲間意識を感じている。
引き続き自社に戻っても、このチームを拠り所にして、お互いのアイデアをぶつけ合っていけたら嬉しい。
定義した課題が、顧客の自己実現に向かうものが多いのが印象的だった。ファシリテーターから「東南アジアやアフリカでこのワークショップを実施すると、ユーザーの願いは安全な水の供給など、生存に関わるようなものが多くなる」とのコメントがあり、日本社会と他国とのニーズの違いに気づくことができて、視野が広がる体験にもなった。
学生の声
高校生の頃にアイデア発想の授業に参加したことがあったが、高校生同士ではどうしても想像の範囲に限界があった。県内企業の方と一緒に秋田にまつわるアイデアを発想できたことで、想像の範囲が拡がったと感じた。
時間が限られているなかでアイデアの発散と収束を繰り返し、ユーザーの願いに立ち戻り、何を手放すか、諦めるかなどを考え、ユーザーにとって大切な価値により近づくプロセスがとても難しかった。2日間があっという間だった。
アイデア発想で終わらず、実用化に向けた検討を企業の方々と一緒にできたことがいい経験となった。
今回グループで出したアイデアをもっとブラッシュアップしてみたいと思った。
デザイン思考ワークショップ(LAB 1)はデザイン思考の方法を学ぶだけでなく、学生と県内企業が共通のテーマに取り組み、互いの視点を学び合い取り入れながら新しい価値を創造する場です。
そしてLAB 1で生まれたアイデアは、デザイン思考実践としてLAB 2(事業創造プロジェクト)またはLAB 3(秋田県内企業課題解決型学修)へ進み、専門家からの講義・アドバイスを受けながら更なるブラッシュアップを行います。
AIUから、秋田を起点にしたスタートアップが生まれるかもしれません!引き続きAIUデザインLABの活動に注目していただけると嬉しいです。
Tel: 018-886-5835
Email: [mail aiu.collaboration]