BUILDプログラム
概要
国際教養大学のBUILD(Building Information Literacy for a Digital Society/デジタル社会のための情報リテラシー教育)プログラムは、デジタル社会の基盤である数理、データサイエンス、AIといった分野への関心を高め、これらを適切に理解し、活用できる基礎的な能力を育成するためのプログラムです。
背景と目的
私たちの日常では、加速度的にデータ駆動型の各種情報サービスや機器が浸透してきています。AIが日々のやり取りの多くを支えているだけでなく、私たち個人や集団の現在、そして未来に大きな影響をもたらし始めているのです。
本学では、グローバル社会におけるリーダー育成を使命とし、人間科学と自然界の広範にわたる既存の異なる知識体系を柔軟に結びつけ自律的に考え判断できる能力強化を教育目標のひとつとして掲げています。2021年には新たなカリキュラムを導入し、変化が著しい昨今の社会においても新たな価値を創造していく人材を輩出すべく、社会が直面している大きな潮流に呼応した「新しい科学技術・社会創造」分野の拡充を図りました。
その一環として本プログラムは、学生がこのデータ社会を理解し、データとAIがどのように私たちの社会を形成し、影響を与えているかについての基礎的な視野を養うことができるものとなっています。アルゴリズム的アプローチの落とし穴や意図しない結果を予測することで、学生たちが責任を持ってデータサイエンスとAIの力を制御し、生活を豊かにして公正で公平な社会を支える道具として、倫理的かつ持続可能なの未来を構築することに使うための礎を築くことが、本プログラムの目的です。
学修成果
本プログラムを通じて学生たちは、次のような基礎的な能力やスキルを身につけられます。
- 数理情報を活用するためのリテラシー
- データ収集・分析・提示に必要な一連の能力
- 現在のデータ指向社会についての正確な認識
- データに基づく意思決定の経験と適性
- AI関連技術の社会的・倫理的影響に対する理解
修了要件
下記の修了要件に沿って履修することでプログラム修了となります。
- 統計学(MAT200)(3単位)を修得すること
- コンピュータ・リテラシー(CCS120)(3単位) または 人工知能と人類(DGT330)(3単位)を修得すること
- 計6単位修得すること
プログラムの構成
本プログラムは、本学に在学する全学部生を対象として開講する3科目により構成されています。なお、修得単位は卒業要件の単位にも含まれます。
- 統計学(MAT200)
- コンピュータ・リテラシー(CCS120)
- 人工知能と人類(DGT330)
※カッコ内は科目コード
これら科目の使用言語は、本学の他の科目と同様、すべて英語です。
各科目の詳細については、ウェブ上で公開されている最新版のシラバスをご参照ください。科目コード(Course code)での検索が便利です。
受講や修了認定に特別な手続きは必要ありません。2021年度以降に入学し、修了要件を満たした学生に対して自動的に認定が付与され、成績証明書に記載されます。
BUILDプログラム以外の関連科目
本プログラムの構成科目以外にも、国際教養学部では数理・データサイエンス・AIに関連した科目が開講されており、学生は自身の関心に応じて履修できます(下表)。
各科目の詳細については、ウェブ上で公開されている最新版のシラバスをご参照ください。科目コード(Course code)での検索が便利です。
下表中AILA 1〜4については「入学から卒業までの流れ」ページをご覧ください。
分野 | 導入・基礎の学び (AILA 1~2) | 学際的な学び (AILA 2~3) | 研究テーマに沿った選択 (AILA 3~4) |
---|---|---|---|
数理 | 教養数学(MAT100) 代数学(MAT150) | 経済データ分析(ECN220) 経済学の数学的方法(ECN205) 線形代数学(MAT260) 微積分学(MAT250) | AI、ゲームと数学(MAT230) データモデリング(MAT300) デジタル世界の数学(MAT240) ファイナンスデータ演習(ECN339) ポートフォリオマネジメント(ECN347) マーケティングと数量分析(ECN316) 計量経済学(ECN327) 時系列分析(ECN338) |
データサイエンス・AI | プログラミング基礎(CCS125) | デジタル時代の重要課題(DGT150) 学習と科学技術(DGT200) 情報科学(INF260) | サイバー心理学(PSY310) サステナビリティ学におけるリモートセンシング技術の応用(SUS370) サステナビリティ学の経験的概念と方法論(SUS300) 学習とデザイン(DGT320) 機械学習とビッグデータ(CCS320) 技術と社会(ECN337) 詩的プログラミング(MAT340) |
科目一覧は2023年4月時点
MDASHモデルカリキュラムとの対応
数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムが示すモデルカリキュラムは、「導入」「心得」「基礎」と3つの段階で5つの学修内容を学びます。BUILDプログラム内の各科目との対応は次のとおりです。
学修内容1(導入)
数理・データサイエンス・AIは、現在進行中の社会変化(第4次産業革命、Society 5.0、データ駆動型社会等)に深く寄与しているものであること、また、それが自らの生活と密接に結びついているものであること。
モデルカリキュラムでの対応箇所 | 該当する内容を学修するBUILD科目 |
---|---|
導入1-1. 社会で起きている変化 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
導入1-6. データ・AI利活用の最新動向 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
学修内容2(導入)
数理・データサイエンス・AIが対象とする「社会で活用されているデータ」や「データの活用領域」は非常に広範囲であって、日常生活や社会の課題を解決する有用なツールになり得ること。
モデルカリキュラムでの対応箇所 | 該当する内容を学修するBUILD科目 |
---|---|
導入1-2. 社会で活用されているデータ | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
導入1-3. データ・AIの活用領域 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
学修内容3(導入)
様々なデータ利活用の現場におけるデータ利活用事例が示され、数理・データサイエンス・AIは様々な適用領域(流通、製造、金融、サービス、インフラ、公共、ヘルスケア等)の知見と組み合わせることで価値を創出するものであること。
モデルカリキュラムでの対応箇所 | 該当する内容を学修するBUILD科目 |
---|---|
導入1-4. データ・AI利活用のための技術 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
導入1-5. データ・AI利活用の現場 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
学修内容4(心得)
ただし数理・データサイエンス・AIは万能ではなく、その活用に当たっての様々な留意事項(ELSI、個人情報、データ倫理、AI社会原則等)を考慮することが重要であること。また、情報セキュリティや情報漏洩等、データを守る上での留意事項への理解が重要であること。
モデルカリキュラムでの対応箇所 | 該当する内容を学修するBUILD科目 |
---|---|
心得3-1. データ・AI利活用における留意事項 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
心得3-2. データを守る上での留意事項 | コンピュータ・リテラシー(CCS120) 人工知能と人類(DGT330) |
学修内容5(基礎)
実データ・実課題(学術データ等を含む)を用いた演習など、社会での実例を題材として、「データを読む、説明する、扱う」といった数理・データサイエンス・AIの基本的な活用法に関すること。
モデルカリキュラムでの対応箇所 | 該当する内容を学修するBUILD科目 |
---|---|
基礎2-1. データを読む | 統計学(MAT200) |
基礎2-2. データを説明する | 統計学(MAT200) |
基礎2-3. データを扱う | 統計学(MAT200) |
申請書
MDASHプログラム(リテラシーレベル)認定に向けて文科省に提出した申請書は次のとおりです。
自己点検・評価報告書
BUILDプログラムの実施内容や実績は毎年報告書として取りまとめられ、国際教養大学自己点検・評価委員会による評価の対象となっています。各年度の報告書は次のとおりです。