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【特別講演会】第4回「ポストコロナ時代におけるバイデン新政権のアジア政策と学術交流」(ザック・クーパー氏)

国際教養大学では、学生・教職員を対象として、「ポスト新型コロナウイルスを見据え、今、考えるべきこと、そしてこれからの社会のあり方」を共通テーマとして、各界を代表する国内外の有識者によるオンライン講演会をシリーズで開催いたしました。本講演会を通して、新型コロナウイルスが人類にもたらしている影響を多面的に理解し、今後のグローバル社会のあり方を考える機会としております。

シリーズ最後となる第4回は、12月4日(金)、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の主任研究員であるザック・クーパー氏をお迎えし、「How COVID-19 Will Change Both the Biden Administration’s Approach to Asia Policy and the Nature of Academic Exchanges Post-COVID」(参考訳:新型コロナウイルスは、ポストコロナ時代におけるバイデン新政権のアジア政策と学術交流にどのような変化をもたらすか)というテーマでご講演いただきました。

画面共有にて説明するZoom越しのクーパー氏のスクリーンショット

統計データに基づき、解説するクーパー氏(右上)

クーパー氏は、米国のプリンストン大学で安全保障学の博士号を取得後、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies:CSIS)や戦略予算評価センター(Center for Strategic and Budgetary Assessments:CSBA)等のシンクタンクのほか、米国国防省やホワイトハウスにおいて国家安全保障に携わっておられました。現在は、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所で米国のアジア政策に関する研究に従事し、同氏の研究は様々な学術誌や書籍で取り上げられています。

講演会では、各種統計から見えてくるバイデン新政権のアジア政策、今後の日米関係、高等教育を巡る動きという3つのトピックについてお話いただきました。

まず、アメリカと同盟関係にある国々からのオバマ元大統領とトランプ大統領に対する評判を比較したうえで、バイデン新大統領は同盟国から一貫した定評を得るだろうと考察し、トランプ大統領とバイデン氏がそれぞれ重要視する課題の違いを説明されました。続けて、バイデン新政権によるアジア政策の発展が期待される一方、同じ民主党政権としてオバマ元大統領がとった政策との差別化が求められると解説されました。

日米関係については、両国が中国に対して抱く共通の不安に触れ、今後、世界は「安全保障」「経済」「テクノロジー」「民主主義と政治」の4つの側面で対立や連携を深めていく中、日本とアメリカはいずれにおいても中心的役割を担うこととなり、バイデン新大統領と菅総理大臣のより野心的な取組に期待したいと語られました。

最後に、ポストコロナ時代の学術交流については、これまでどおりの留学プログラムの提供が困難であることや学生や研究者の国境を越えた交流が少なくなることに懸念を示し、他国で学ぶことで得られる知識と関係性が失われないよう取り組んでいくべきであるという考えを共有いただきました。

クーパー氏と、本学の学生と教員がそれぞれの場所からZoom上で質疑応答する様子

質疑応答の様子

質疑応答では、バイデン新政権がアジアに対して抱く期待や、安全保障における日米の協力可能性についてなど、本学学生・教員との活発な議論がなされ、講演会を通じ、これまでのアメリカ政権の特徴やバイデン新政権と日本及びアジアの今後の関係について、理解を深めることができました。

これまでの特別講演会の記事は、こちらからご覧いただけます。
第1回「コミュニケーションの進化と未来社会」(山極 壽一氏)
第2回「COVID-19パンデミック下における米中の戦略的競合」(イアン・イーストン氏)
第3回「ポストコロナの世界における日本の役割」(北岡 伸一氏)