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広報チームブログ
【オススメの一冊シリーズ】No.12 工藤 尚悟 准教授
秋田ではまだ雪の降る日がありますが、晴れ間の暖かい陽の光から少しずつ春を感じられるようになりました。まだ肌寒いこの季節、暖かいお部屋の中でゆっくりと読書を楽しみませんか。
「本のコロセウム」をテーマに「本と人との出会いの場となる劇場空間」としてデザインされた中嶋記念図書館は、勉学に打ち込む「知の闘技場」でもあります。
そんな中嶋記念図書館の蔵書から、本学の教職員・学生が厳選する「私がオススメする一冊」を聞きました。
シリーズ第12回は、工藤 尚悟 准教授の「オススメの一冊」をご紹介します。
プロフィール
工藤 尚悟
- グローバル・スタディズ領域 准教授
- 好きな書籍:村上 春樹「海辺のカフカ」
おすすめの一冊
佐藤 仁 「野蛮から生存の開発論:越境する援助のデザイン」
この本を選んだ理由
本書は、国際協力や開発援助の分野に関心のある人々に向けて、開発研究の世界を紹介する一冊です。開発学は、「開発」という主題を理論と実践の両方から学際的に扱う領域です。しかし、そもそも「開発」や「豊かさ」とは何を意味するのでしょうか。ある社会において豊かな状況は、そのまま他国にも当てはまるものなのでしょうか。気候変動対策やSDGsのように国際的に合意された開発目標がある一方、個々の国や地域の風土に根ざした固有の豊かさも同時に存在するはずです。こうした開発や豊かさに関する概念的な議論と、実際に開発を実現するための実践的な議論が、開発研究のなかでダイナミックに展開する様を本書は描き出します。
メッセージ
国際協力や開発学に関心のある方だけでなく、「豊かさとは何か?」という問いが気になるすべてのAIU生に本書をお薦めします。文献と現場を往来しながら理論を構築していくための「アカデミックな胆力」が求められる開発学の魅力を本書を通じてぜひ感じてください。
2023年6月には、著者の佐藤仁先生が会長を務める国際開発学会が本学にて開催されます。この学会は、会員の半数が実際に開発事業に従事する実践家であるため、学術的な議論だけでなく、国際協力の現場のリアルを知ることができます。本書を読んだ後に、国際開発分野の研究者や実践家の話を聞いてみたいという方は、ぜひ来年6月の学会にボランティア等を通じて参加してみてください。
今回ご紹介した本は、本学の中嶋記念図書館で取り扱っています。本の詳細はこちらからご覧いただけます。
中嶋記念図書館では、本学学生と教職員を対象に図書購入依頼を受け付けているほか、本学学生を対象に図書郵送貸出サービスを実施しています。
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