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私のオススメ授業紹介:化学入門、化学実験(井口 涼花さん)

国際教養大学の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。

また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨いてもらうことを目的としています。

この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。

今回は井口 涼花(いぐち すずか)さんのオススメ授業をご紹介します。

波打ち際に立ってピースする井口さんの写真
井口 涼花さん

こんにちは!井口 涼花です。3回目の科目紹介となる今回は、化学入門、化学実験を紹介します。

科目情報

  • CHM100 化学入門、CHM105 化学実験
  • 教員:アンディ・クロフツ教授
  • 単位数:講義が3単位、実験が1単位

AIUの理科科目

AIUでは生物、化学、物理の理科科目の中から講義、実験を1科目以上受講する必要があります。講義と週に1回の実験を同学期に受けなければいけないので毎回すぐに定員が埋まってしまい、基盤科目ではありますが上級生が多めの授業です。私は運良く留学前に受けることができましたが、卒業直近の先輩が一定数いました。
理科科目はどの教科も高校基礎くらいの前提知識はあったのですが、一番好きで得意だった化学を取ることに決めました。

英語で学ぶ難しさ

化学入門は高校で習う化学基礎と範囲がほぼ被っており、内容自体は難しくはありません。ただ、すでに知っている内容でも日本語で学ぶのと英語で学ぶのでは全く異なり、辞書がないとさっぱり理解できないことが多くありました。当時私はEAPが終わってすぐの時期だったのでまだ基盤教育に慣れておらず、英語についていくのに必死で、授業後は毎回復習を欠かさずしていました。
しかしすでに知っている内容でも、英語で学ぶと新しい方法で頭にインプットされる感覚があり、英語で学ぶ楽しさを実感した授業でもありました。学期が終わった頃には「やりきったぞ!」と自分の英語力に自信がつきました。

実験の授業

「大学での化学実験というと何をするのだろう?」と履修する前は疑問に思っていたのですが、実験は複雑なものではなく、説明をきちんと読めば誰にでもできるものでした。例えばある実験では、いくつかの試験管の中にそれぞれ違った量のカルシウムと水を入れ、真空にして蓋をし、その蓋を外したときに鳴る音の大きさを比較しました。化学式を用いて反応式を作った結果、水の量と空気の量の違いから音の大きさが変わったことがわかりました。授業ではこのように最初に実験をし、実験の後でどうしてこのような結果になったのかを論理的に検証するプロセスで演習しました。
当時はまだコロナ禍でオンライン授業がメインでしたが、寮に住んでいて抗原検査を受けて陰性だった私は対面で実験に参加することができました。この授業は私にとってAIUで受ける最初の対面授業だったので、とても印象的でした。一緒に学ぶクラスメイトや先生と対面で授業を受けられるありがたさを実感しました。

実験の説明
水とカルシウムの実験の説明書です。実験結果が楽しみになるような、分かりやすい説明がされています。

オススメポイント

比較的易しい授業内容

理数系科目が得意でないと感じる人もいるかと思いますが、この授業は化学の基本原理を正しく理解することを目的としているので、専門的な知識は必要ありません。日常生活における化学の影響や重要性と化学の基本原理とを結びつけることに重点を置いているので、高校で化学を習っていなくても興味を持って学べると思います。また、元素記号を使うことがとても多かったのですが、この記号は世界共通であるため、他教科と比べて英語で習うのと日本語で習うので大きな差がないのも特徴です。教授への質問はいつでもウェルカムだったので、化学入門の授業はオンラインでしたがみんな活発に質問をしていました。

体験的に学べる

座学だけでなく実際に手を動かす機会があるのも、この授業の特徴です。実験の授業では久しぶりに実験器具を使い、予想通りの結果が出た時の喜びは大きなものでした。高校生の頃の受験勉強としての化学とは違い、授業での実験はいつも発見に溢れていてワクワクしました。実験をする上で学生が自分で考え、やり方を工夫することで正しい結果を得ようとし、それが創造力の発展にもつながりました。また当時はコロナの影響で講義はオンラインでしたが、実際に外に出て身近な化学現象を観察するフィールドワークもあり学ぶ楽しさを思い出させてくれる授業です。

身近なものとの接点

この授業は知識として化学を学ぶだけではなく、身の回りの現象と結びついたトピックも学びます。学期末のプレゼンテーションでは環境問題と化学を組み合わせたトピックをそれぞれ発表しました。私は「人間の色の認識の仕方によって補色という正反対の色の組み合わせが生まれ、それが『騒色公害』という人々の不快感を引き起こす景観問題の一種と関係している」という内容でプレゼンテーションをしました。クラスメイトの発表をとおして身近なものへの新たな気づきもあり、聞いていてとても興味深いプレゼンテーションでした。

赤い絵具を水に溶かしている様子
「騒色公害」についてのプレゼンで自作した簡単な実験のビデオのワンシーン。

授業紹介を通して

3回にわたりAIUの授業について書いてきましたが、授業紹介をするにあたって実感したのは「AIUは理系大学、文系大学という枠にははまらない」ということです。3つの授業はどれもバラバラで、これらを一つの大学で受けることができるというのは珍しいと思います。これがリベラルアーツ大学の利点なのだなと再認識しました。そういう点でAIUはなかなか型破りな大学で、卒業時に受講した授業を並べると他の大学のものとは全く別のものになるはずです。実際に入学前の私がそうだったように、AIUの授業は謎に包まれているイメージがあるかと思いますが、私の授業紹介が少しでも皆さんのお役に立てばうれしいです。