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私の留学レポート:リトアニア ヴィタウタス・マグナス大学 〜圡方 眞佑子さん(3)~

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。この「私の留学レポート」は、今まさに留学中の学生に、現地の様子や留学中の挑戦を、自分の言葉でレポートしてもらう企画です。

今回は、リトアニアに留学中の圡方 眞佑子(ひじかた まゆこ)さんのレポート最終回をご紹介します。

書道のワークショップをした時の写真
ボランティア先の図書館で書道のワークショップを体験しました

新しい出会いで別の視点や興味が広がる

2学期目の生活で印象に残っていることは2つあります。1つ目は夏から始めたボランティアです。夏休みにAIUの同期が留学先でボランティアなどを行っているのを知って、私も何か新しいことを始めたい!と思い、地域の図書館のボランティアに参加しました。ボランティアには高校生が多くいて、彼らの興味のある科目やリトアニアの政治や学校制度、気候の話などをしてくれました。また、その図書館では日本語の講座も行っており、現地の人たちがリトアニア語で日本語を学ぶところを見学させていただきました。私がこれまで疑問に思わなかったことへの質問が飛んできたり、「主婦」という日本では当たり前の概念に対し驚きの反応があったりと、日本語や日本文化についても別の視点を得ることができたのではないかと思います。
2つ目は留学先で出会った友だちと旅行先で再会できたことです。リトアニアに来ている交換留学生は半年間のみの留学の人が大半で、多くの友だちが夏休みに帰国してしまいました。とても寂しかったですが、ヨーロッパの学生が多かったので、トルコ、ギリシャ、フランス、ボスニアなど、旅先で再会できたこと、それぞれの国を案内してもらえたことで友情が深まりました。

カウナスの街並みの写真
展望台からのカウナスの眺め

またこの留学中は、今まで会ったことがない国や地域の人に出会い、その数だけ知らない言語にも出会いました。ジョージア文字マラヤーラム文字など見たこともない、かわいい文字に出会って「読めるようになりたい!」と思いました。今までも外国語に興味がありましたが、自分の知らない言語・文字・文化がこんなにも多いんだということを改めて実感し、もっとたくさんの言語を学び言語に関する知識を深めたいという思いが強くなりました。

カウナスのクリスマスツリーの写真
カウナスの夜のクリスマスツリーの様子

積極的でなければ広がらない

留学で成長できたことは自分から人に声をかけられるようになったこと、助けを求められるようになったことだと思います。今まで日本にいたときは友人に恵まれ、自分から行動を起こしたり、人を誘ったりすることはほとんどありませんでした。しかし、留学においては現地に行くまで誰も知り合いがいなかったこともあり、わからないことは自分から尋ねたり、コミュニティを広げるには自ら新しい場所へ飛び込んだりする必要がありました。思い切って参加してみたイベントで友だちができたり、困ったときには知らない人にも助けを求めたりと、行動を起こすことの重要性を学べたと思います。

紅葉と青空が美しいカウナスのメインストリートの写真
紅葉が綺麗な秋のカウナスのメインの通りの様子です

課題として残ったことは自分の準備力です。留学に行く前に留学中の確固たる目標を決めていませんでした。そのため、忙しくなったときに自分の中での優先順位が曖昧で、勉強やその他のやりたいことが中途半端になってしまうことがありました。また、留学に行く前の下調べも不十分だったと思います。ヨーロッパを旅して、自分が留学先の候補にも入れていなかった国の良さに気づいたり、リトアニアで友だちと話す中でいかに自分が留学先に関してリサーチ不足だったかに気づき、もっといろいろ調べるべきだったと感じました。

あと1年で学生生活が終わること、社会に出ていくことを考えて、何かに取り組む際には目標を持ち優先順位をはっきりさせておくこと、物事を始める際にはしっかりと調べて様々な選択肢、情報をもとに決断できるようにしたいです。

「杉原ハウス」の門の写真

第二次世界大戦中、カウナス日本領事館に赴任した杉原千畝がドイツの迫害によりポーランドなど欧州各地から逃れてきた難民たちにビザを発行し避難民を救った旧日本領事館「杉原ハウス」の写真です

事前の準備や下調べは念入りに

希望の留学先を絞る際、「ヨーロッパ、非英語圏、開講科目、あまり知らない国」という要素だけで決めました。留学先が決まった時にはリトアニアの場所がわからないほどだったのですが、結果的にはリトアニアでの1年間で得た経験や出会った人々は一生の宝物で、この留学先で本当によかったと思います。ただ、前述した準備不足から私が後輩や高校生にアドバイスできるとすれば、物価、気候、治安、住環境、大学の規模、留学生の数などを調べたり、日本で学べないことを学びたいのか、普段出会えない人たちに出会いたいのか、旅行に行きたいのか、など何が一番したいのか、自分の気持ちに向き合う時間を十分に取るといいと思います。

私の大学があったカウナスは欧州連合 (EU) が指定する2022年ヨーロッパ文化首都に選ばれ、都市主催の様々なイベントやエキシビションがありました。この文化首都は毎年変わるので、そういったイベントなどを調べて留学先を選ぶというアプローチ方法もあるかと思います。どの留学先に行っても素晴らしい経験が待っていると思うのと同時に、留学先選択のアプローチ方法は多様です。しっかり調べたうえでぜひ後悔しない選択をしてほしいです。

Kaunas2022のイベントで水上のスクリーンに映像が映し出されている様子
夏に行われたKaunas2022の3大イベントのうちの一つです

国際センターから一言

留学をきっかけに、これまでの「Comfort Zone」から一歩踏み出したら、それが自分を変えてくれた「大きな一歩」となった様子が、とてもよく伝わってきました。慣れた環境や習慣を変えるためには、時には勇気を必要としますが、圡方さんの視野や交流の輪が世界中に広がったのは、ご自身の行動力があったからこそだと思います。リトアニア留学で得た素晴らしい経験や自信をもとに、これからも様々なことに挑戦しながら、新しい自分の可能性を広げてください。圡方さんの活躍を応援しています。

国際教養大学では日本への入国制限の緩和に合わせて2022年5月以降、留学生の受け入れを再開しています。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。