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私の留学レポート:アメリカ・ユニオンカレッジ〜荒井 真結実さん(2)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生たちのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、アメリカに留学中の荒井 真結実(あらい まゆみ)さんのレポート第2弾をご紹介します。
興味深かった映画の授業
前回あまり触れることのできなかったニューヨーク州のユニオンカレッジの授業について紹介したいと思います。ユニオンカレッジではAIUでは受講できない科目や自分の興味分野に沿った科目を履修していますが、秋学期に履修した 「Ancient World in Film and Literature」 の授業はわくわくする授業でした。週2回授業のうち、1回目は映画を鑑賞し、その日の課題として鑑賞した映画の原作や主人公に関する書物を読み、2回目の授業内で映画と原作・書物を比較し、それぞれのアプローチ方法について考察し、ディスカッションするという形でした。ユニオンカレッジでの最初の学期はディスカッション中心の授業が多くハードでしたが、毎週有名な映画を観て、原作との違いや原作が映画になっていく過程、映画が大衆文化になっていった歴史などについて分析するのはとても興味深かったです。
和太鼓の思い出
今学期は、前学期から継続して履修している和太鼓の実践講義(1週間に2時間程度)で初めて舞台上でパフォーマンスをしました。受講生のほとんどがアメリカ人学生で初めは皆の話すスピードについていけず、受講を続けるか悩んだこともありました。しかし、先生と他の学生がたくさん声掛けしてくれたおかげで、その雰囲気にもついていけるようになりました。親切で、音楽の才能もある学生と会話しながら演奏する和太鼓は、日本で体験するのとはまた違って、とてもいい思い出になりました。
好評だった日本クラブの設立!
課題の多さから特定のクラブやサークルなどには所属していませんが、今学期から、正規留学の日本人学生と日本クラブを立ち上げ、活動を始めました。ユニオンカレッジには他にも中国やドイツ、スペインなど国単位のクラブと、アジアやアフリカなど人種や民族単位のクラブがあります。
今学期ユニオンカレッジには日本人の学生が10人ほどいたこともあり、「日本語を履修している学生やアニメなどに興味のある学生に、もっと日本のことを知ってもらう機会を増やしたい」という正規生の友だちの提案で、日本クラブの立ち上げに至り、イベントも企画しました。今学期はお正月やバレンタインの時期に合わせて白玉とあんこを作ったり、福笑いや書き初めを体験してもらいました。
参加できる時間が限られている私は、アイデア出しとイベント当日の運営に参加しています。イベントを自分たちだけで企画・運営することは想像以上に難しかったです。当日の参加人数が想定より多かったことで、急遽材料を買い足さなければいけなくなるハプニングがあり、当日まで本当に大変でした。日本クラブでの活動を通して、日本の文化に興味を持ってくれている学生や自分が思っている以上に日本に好意を持ってくれている学生が多いことを知り、自分の知らなかった日本の良さに改めて気づくことができました。ユニオンカレッジの冬学期は雪が多く、他の学期と比べて外に出ていく機会がなかなか作りづらいと感じていましたが、他のクラブが主催する文化イベントにもたくさん参加し、より自分の世界を広げることができたと思います。
由緒ある劇場が近所に!
ユニオンカレッジのあるスケネクタディーには、百年ほどの歴史のある劇場があり、ニューヨークで上演されるブロードウェイミュージカルのセットや演者の方が身近に感じられます。キャンパスから徒歩20分ほどの距離で、演目によっては25ドル程度で本場アメリカの舞台を鑑賞できるのはこの町のすごく魅力的な部分だと思います。舞台鑑賞は私にとって、自分自身の英語の上達度合を知れたり、字幕や事前にあらすじを読まずに舞台の内容を理解するために英語学習のモチベーションを高めたりすることにも繋がるので、とてもいい環境で留学できているなと感じています。
留学したから気づくことができた価値観の違い
留学してよかったことは、英語でのコミュニケーションの上達はもちろんですが、世界各地から人々が集まるアメリカで、異なる文化圏の人との関わりを通して、人の価値観の違いを受け入れる大切さに気づけたことです。いろいろな人と関わる中で、自分の中の「当たり前」の感覚がいかに他者に通用しないか、今までどれだけ自分の心地良い世界だけで生きてきたのかを実感させられました。今回の留学で、その価値観の違いが自分のストレスになってしまわないように、広い視野をもつ練習ができたと思います。知らない世界や価値観に触れることに対して、ただ違和感を感じて終わるのではなく、新たな知識として自分に取り込めた経験はとても意義のあるものだなと感じます。
国際センターから一言
現在、日本の人口の90%以上が「日本人」です。日本に生まれて育った方が、アメリカのような多様な人種や民族や文化が混在している国に留学すると、最初はカルチャーショックを受けるかもしれません。荒井さんのように、日本の文化や生活習慣を他国の人々に紹介することで、自分のこれまでの常識にとらわれることなく、また同時に自国の文化について知識を深めながら世界の様々な世界観にふれることができ、国際社会の一員としての自覚を持つことができるのではないでしょうか。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。