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私の留学レポート:タイ・マヒドン大学インターナショナルカレッジ〜奥野 美優さん(1)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生たちのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、タイに留学中の奥野 美優(おくの みゆう)さんのレポート第1弾をご紹介します。
皆さんこんにちは、初めまして!2021年入学の奥野 美優です。出身は広島県で、グローバル・スタディズ領域に所属しています。この度は私の留学レポートを読んでいただきありがとうございます!これから3回の留学レポートを皆さんにお届けしますので、どうぞよろしくお願いします。
留学先大学の紹介
2023年1月から、タイにあるマヒドン大学のインターナショナルカレッジ(Mahidol University International College、以下、MUIC)に留学しています。マヒドン大学はタイの中でも医学部や音楽の学部で有名な総合大学で、私はInternational Collegeという学部に在籍しています。他の学部の学生はほぼタイ人で授業もほとんどがタイ語で開講されているのに対し、MUICの授業はすべて英語で行われ、タイ人の正規学生だけでなく、外国人の短期留学生や正規学生も多く在籍しています。
授業だけではわからない事が見える現地での生活
私がMUICを選んだ理由は主に2つあります。1つ目は「タイは人が優しく、ご飯が美味しいから」です。あまり高尚な理由ではなく恐縮ですが、1年も住むのであれば住みやすさが絶対に大事だ!と思い、日本と同じ「出汁文化」のあるアジア圏への留学を考えていました。具体的にタイに決めたのは、2022年の夏に履修したAIUのPBL(Project Based Learning)の授業がきっかけです。PBLでは実際にタイに渡航し、タイ人の大学生と一緒にコミュニティ開発について考える授業を受けました。その際に関わったタイ人の方々がとても優しく、またタイ料理が自分の口に合っていたことから留学先としてタイに行くことを決めました。1月に交換留学として再びタイに来てからも、PBLで仲良くなったタイ人の友だちとの交流は続いています。
2つ目の理由は、「国際協力・開発の分野に興味があったから」です。留学先を選ぶ際に学びたい分野として考えていたのは開発学です。どこへ留学に行くかを考えたときに、学問的に進んでいる欧米の大学に行くか、もしくは東南アジアの大学に行って実際に住むことで現地の様子を肌で感じるかという2択で迷いました。最終的に、授業で学んだことよりも自らその土地に住んで感じたことの方が印象に残るだろうと思い、東南アジアの大学に留学することを決めました。実際のところ、非常に発展しているバンコク都心部と、まだ開発されていない周辺部の経済格差を目の当たりにし、改めて留学先としてタイを選んでよかったと思っています。
留学前の努力が自信を生んでくれる
MUICでは、国際関係学を専攻しつつ、中国語とタイ語を勉強しています。中国語はAIUでも約1年間勉強していたので、その続きとして中級レベルの授業を履修しています。こちらでの中国語のクラスはAIUの授業よりもスピーキングに焦点を当てた授業です。初めて中国語でスライドを作ってプレゼンテーションをしたときには、慣れないために苦労したものの、今では以前より自信をもって中国語を話せるようになりました。また、中華圏のルーツを持つ人も多いため、春節の時期には授業時間を使って「Chinese New Year Party」を行いました。言語学習だけでなく文化にも触れられるのがとても楽しいです。一方、タイ語の授業はスピーキングとリスニングに特化した入門レベルの授業ですが、この授業を履修したおかげで自己紹介や飲食店での注文など、わずか4カ月弱で基本的なことはタイ語で話せるようになりました。
立場が変わって気づいたこと
私は「郷に入っては郷に従え」だと思い、これまで最大限にタイ語を使い、片言ながらもタイになじんだつもりで楽しく生活していました。そんな私が初めて壁に直面したのは留学から3カ月ほどが経った4月に大学のボランティアキャンプに参加したときです。参加者のほとんどがタイ人の学生で、アナウンスを翻訳してもらえないときもありました。そのときは周囲の動きや盛り上がりについていけないと、言語の壁を非常に強く感じました。言葉が通じないことを辛いと思った出来事でしたが、その半面、日本に来ている留学生の気持ちが分かったことは大きな経験でした。日本にいたときは多数派の日本人側の視点しか持っていませんでしたが、少数派の外国人留学生として生活し始めてから、世界共通言語である英語表示がどれだけ助けになるか、友だちの手助けがどんなに嬉しいかを身にしみて感じています。日本では決して得られなかったであろう視点を得られたことで、留学に来た意義を感じています。
留学中は将来についてじっくり考えてみる良い時期
私の留学中の目標は大きく2つあります。1つ目は、毎月タイの好きなところを1つ以上見つけることです。この1年間の生活をポジティブに過ごすために、小さなことでもいいのでタイの好きなところをたくさん見つけたいと考えています。大変なことも様々あるとは思いますが、良かったことを記録しておくことで留学を終えたときにいい1年だったなぁと思うことを目標にしています。
2つ目は、将来についてじっくりと考えることです。AIUにいたときは日々の課題や課外活動で常に忙しい生活を送ってきました。一方で留学生活を始めてから、AIUよりも授業の負担が軽く、またキャンパスに友人全員が住んでいるAIUとは違い、様々な誘いが少なくなったので、自分の時間が増えたと感じています。この空き時間を活用して、自分が卒業後何をしたいのか、どんなことに興味があり、どんな職に就きたいのかをじっくり考えたいと思っています。また、夏季休暇には国際協力系NGO団体のボランティア活動に参加する予定です。その活動を通して国際協力分野での経験をもとに、自分が具体的にどんなことをしていきたいのかについても考えたいです。
自分なりの楽しみ方を見つけることが大事
初めてタイに来た昨年の夏と今の心境は全く違います。昨年は、タイの良い面も認識しながらも、日本と違って整備されていない点やあまり清潔ではない点にばかり目が行きがちでした。しかし今は日本とは違った人のあたたかさやバイタリティを感じ、タイでの生活をとても楽しんでいます。タイ人と一緒に古いバスに乗って夜風を楽しむ自分がいるなんて、こちらに来るまで想像もしませんでした。まだ4カ月しか経っていませんが、もう既に日本にいるだけでは味わえなかった刺激的で充実した生活を送れていると感じます。人生は何があるか分かりません。今いる環境を自分なりに最大限楽しむことが大事だなと思っています。
国際センターから一言
3月に国際センターの職員も出張でタイに行きました。タイ語の文字が全く読めず、自ずと英語の表示ばかりを頼りにしていた私たちは、今回の奥野さんのレポートに深く共感を覚えます。コロナ禍を経て様々なことがオンラインでも可能となり、留学の意味や意義に疑問符がつけられるような昨今ですが、留学中の気づきをどうか大事にしてください。きっと将来の夢に繋がる、そして奥野さんの成長にも繋がる糧となるはずです。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。