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私の留学レポート:フランス・ネオマビジネススクール〜井口 涼花さん(3)~

国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな彼らのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。

今回は、フランスに留学中の井口 涼花(いぐち すずか)さんのレポート最終回をご紹介します。

スペイン、トレドの景色を背景に写真に映る井口さん
スペイン、トレドにて。大好きな画家のエル・グレコが活躍した地です。

どんなトラブルにも根気強く向き合う経験

留学で一番成長できたと感じるのは自立性です。住宅補助申請や電気の契約など留学に必要な手続きはフランス語の説明しかないことも多く、また私と同時期にルーアンで留学を始める人もいなかったため、留学前は不安とストレスを抱えていました。周囲に手助けを求めることも多々ありましたが、このような問題はできるだけ自分で解決することを心がけていました。外国という慣れない地でトラブルに根気強く対処することで精神的に自立できたと思います。また、様々な困難を自分の力で乗り越えた経験により自信がつきました。

ノルウェー、ベルゲンのフィヨルド夜景の写真
ノルウェー、ベルゲンのフィヨルドの夜景

様々な出会いから感じたこと

留学を通して色々な人に会い、様々な生き方を学びました。ルーアンでお世話になった日本人パティシエの方はフランス語も英語も分からない状態でルーアンの製菓学校に通い、フランス語を独学で習得して経験を積み、その後ルーアンで自分のお店を持ったとおっしゃっていました。大学でできた中国人の友人は日本の高校を卒業しており、大学2年生の時に渡仏してネオマビジネススクールの正規生となりました。将来はフランスの大学院に進み、フランスで就職してパートナーとペットと幸せに過ごしたいと言っていました。Erasmusのツアーで一緒になった日本人女性は、私の両親と同じくらいの年齢でルーアンのフランス語学校に通われていたのですが、普段はカナダに在住しており、ご息女がフランスでお仕事をされているので、せっかくの機会と思いフランス語習得のためにルーアンで勉強しているそうです。このように、やりたいことに向かって自ら道を切り開いていっている方々に国籍や年齢を問わずに多く出会いました。そしてその姿に深く感銘を受け、自分も人生の中でやりたいことを探求し続けられるような強い人になりたいと思いました。

Erasmusのモン・サン=ミッシェルへの写真
Erasmusのモン・サン=ミッシェルへのツアーでたまたまルーアンのフランス語学校に通う日本人の方とご一緒しました。

心に残り続ける景色と体験

留学中に行った旅行もまた忘れられない思い出になりました。行ってみたかった国がたくさんあったので、留学中に可能な限り多くの国に行きました。どの国でも素敵な思い出を作ることができましたが、特に日本からは行きにくく情報が少ない国での体験が強く心に残っています。ノルウェーで見たフィヨルドの美しい景色、ポーランドで公認の日本人ガイドの方の解説を聞きながらアウシュビッツを見学した時に感じた気持ち、アイスランドで人生で初めて聞いた、氷河がぶつかり合うカラコロという音の響きなど、一生忘れることのできない景色や感情がたくさんあります。これまでの自分の人生で最も多彩な経験が凝縮された一年間でした。

アイスランド、ソゥルヘイマヨークトル氷河の写真
幻想的な音が印象的だったアイスランド、ソゥルヘイマヨークトル氷河

最初は不安でも大丈夫

様々な経験をし、自身の成長も感じられた留学ですが、全ての目標を達成できたわけではありません。たくさん友人を作ることやフランス語を向上させるといった目標は、正直なところ道半ばとなってしまいました。しかし、海外経験がほとんどなく、初めての留学だったにも関わらず、体調を崩したり、大きなトラブルに見舞われることなく、安定した気持ちで日々過ごすことができたことは収穫でした。留学前はとても不安でしたが、蓋を開けてみると日本に帰りたくない!と思うほど留学を楽しむことができました。実りのある経験ができたことを嬉しく思います。

ポストカードが一面に貼り付けられた壁紙の写真
帰国前の部屋の壁

次なる目標が明確に

留学先で自分の将来について考え続けた結果、帰国後はMBA(経営学修士)に進学するべく、受験勉強をしています。私は国際機関で働いて貧困問題を解決したいという夢を幼い頃から抱いていましたが、その道のりの険しさや、周りにそのような職についている人がいないことからその夢を諦めかけていました。しかし、留学を通して自分に自信がつき、改めてその夢を目指そうと思ったのです。MBA進学を目標に据えた理由は、今回の留学でビジネススクールに行き経営学に興味が湧いたからです。また、貧困問題には様々な種類がありますが、ビジネスや経済活動は貧困問題の共通課題となるので、解決のためには経営学が役に立つと考えています。進学の道のりはまだまだ険しいかもしれませんが、留学で得た自信を持って、大学院進学だけでなくこれからの人生においても挑戦をし続けようと思います。

ルーアン駅をバックに写真に映る井口さん
ルーアンでの最後の日に、お世話になったルーアン駅と一緒に。

国際センターから一言

1年間の留学は、自分の将来を考えるための大事な時間でもあります。日々の学びだけでなく、多種多様な人々との交流、感動や発見の体験を通して、留学当初の大学院に進みたいという思いが、MBA進学という具体的な目標に変わったのですね。これから先、留学中に培った困難を乗り越える力を発揮して、力強く着実に自分の道を切り開いていってください。応援しています。

英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。