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AIU TOPICS

2021.06.22AIU People

国際教養大学 モンテ・カセム 学長が就任

カセム学長の写真

2021年6月1日、モンテ・カセム氏が国際教養大学 理事長および学長に就任しました。カセム学長は立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長、大学院大学至善館学長を歴任してきたほか、2014年から本学の理事を務めています。

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、カセム学長はZoomで就任の挨拶を述べました。ここでは就任挨拶を抜粋してご紹介します。

Shaping an Exciting Future for AIU

私はスリランカの出身で、来年には、初めて日本に来てから50年目となります。最初は大学院生として、その後は産業界、国際機関、スリランカ政府、教育界の専門家として、日本や日本の人々と関わってきましたが、その経験は非常に実り多いものでした。なお、私が初めて秋田を訪れたのは、1975年、まだ大学院で学んでいた頃でした。

幸いなことに、私はAIUの初代学長である中嶋嶺雄先生、2代目学長である鈴木典比古先生と親しくお付き合いさせていただきました。ご存じのとおり、お二人とも日本のリベラルアーツ教育の発展に大きく貢献された方です。AIUは、お二人が生涯をかけて日本の高等教育の国際化に尽力された成果そのものです。お二人のご尽力により、いま私たちはこの大学が国内外で高く評価されていることに誇りを持つことができるのです。

本日皆さんが一番気にされている点は、「第3代目の理事長・学長として、任期中に何をしようとしているのか?」ということかと思います。

シェイクスピアは、戯曲『ジュリアス・シーザー』の中で、「人の成すことには潮時というものがある。うまく満ち潮に乗れば成功する」(There is a tide in the affairs of men, which when taken at the flood, leads on to fortune)と言っています。これを、AIUに当てはめるとどうでしょうか? 私たちはCOVID-19がもたらした困難という荒波の中にいますが、その流れの中にも多くの可能性が隠れています。

私が重視していく5つの「C」に取り組むことにより、COVID-19という荒波の中でも、AIUがまるでエレガントで大胆なサーファーのように、波にうまく乗っていけることを期待しています。

英語で示された5つの「C」の図

5つの「C」の図

1つ目のCは「Continuity(継続性)」です。
私は、「今日」は昨日と明日の交差点にあると強く信じています。つまり、過去、現在、未来は、連続した時間の流れの中で複数の経路を介してつながっているのです。私は、歴代学長のお二人が残した多くの遺産を基に、皆様のお力添えをいただきながら、この大学を強靭なものにし、将来の課題に正面から立ち向かっていきたいと思います。

2つ目のCは「Collaboration(連携)」です。
現在、AIUは世界各地にある約200の高等教育機関と協定を結んでいます。これらの提携校は、本学の学生に1年間の留学を通じてユニークな知見を与えていると同時に、本学でも提携校から同数の短期留学生を受け入れています。

今後の数年間で、私たちはこれらの関係を更に充実し、つながりを深め、研究交流を強化していかなければなりません。そうすることにより、本学の学生や提携校からの短期留学生は、国内外のアカデミック・メンターの指導を受けながら、秋田や東北など、AIU周辺の地域社会に新たな価値をもたらすために協力し合うことができると考えています。また、本学の学生が留学した際には、留学先において同じような経験をしてほしいと思います。

次に、3つ目のCである「Community(共同体)」について説明します。
AILAの教育活動や調査活動を通じて、AIUは日本や海外の研究者のコミュニティを育てることができます。また、上述のように、秋田の地域社会に新たな価値を与えることも可能です。

このようなコミュニティ意識は、県内だけでなく、東北地方の他の県にも広げることができます。この広大な東北の地は、江戸時代の俳人、松尾芭蕉が描いた「奥の細道」として、今でも多くの日本人の心に残っており、地域の文化遺産である民俗芸能や工芸品なども、豊かなインスピレーションの源となっています。これらの財産は、後世に引き継いでいかなければなりません。

COVID-19によって様々な困難ももたらされましたが、一方で、私たちはオンライン上でコミュニティを形成し交流することができるようになり、学業面での取組にも新たな広がりが生まれました。AILAを通じて国内外のコミュニティにどのように貢献できるか、今後数年の間にさらに明確にしていく必要があると考えています。

4つ目のCは「Creativity(創造性)」です。
私は、創造的なチームを教員間で形成し、学生を巻き込み、個人の力と集団の力を融合させることが重要であり、それが、学部の研究成果だけでなく、大学院の更なる充実にもつながると考えています。

創造性は、決してサイロのような閉塞的な場所に収まるものではないことを忘れてはいけません。分野、国、文化、個人的な偏見を超えて、心を解放してこそ、新たな洞察や発明がもたらされます。また、創造性は、予期せぬ脅威とともに無限の可能性を生み出す困難に対処するためにも必要です。社会のデジタル・トランスフォーメーション、Industry 4.0に伴うDX革命が差し迫っています。AI/IoT革命により、人と機械の境界は無くなるはずです。VRとAR(仮想現実と拡張現実)は、虚構と現実の境を曖昧にするでしょう。

このような考えから、AIUはグローバル・コネクティビティ領域を教育の第3の柱として導入し、学部カリキュラムのグローバル・スタディズ領域グローバル・ビジネス領域における学びを補うことを決めたのです。

最後に、5つ目のCである「Conviviality(友好)」について説明します。
本学のリベラルアーツの基盤は、倫理的なジレンマを解決し、新たな形の悪に対抗し、「人の心」が打ち勝つ方法を模索するよう求められます。これは、科学技術の絶え間ない進歩により、人間社会や自然との関係が急激に変化していることが背景にあります。
学生の皆さんが、これまで人類が経験したことのない様々な問題に立ち向かうこれからの時代において、私は、固い友情こそが、人間社会を苦しめるであろう病の特効薬になると信じています。すなわち、Convivialityこそが、それらの問題に立ち向かう力を与えてくれるのです。

AIUの最優先課題は、皆さんの安全を確保すること、そして、日本や海外に散らばっている学生の皆さんをどれだけ早くこのキャンパスに集め、海外への渡航を促進できるかということです。活動が制限されるCOVID-19の状況下で、たとえオンライン上であっても、楽しみ、お互いに笑い合うことを忘れないでください。現在の状況では、全ての学生に直接会うことは難しいかもしれませんが、キャンパスで私を見かけた際には、遠慮なく声をかけてください。

東北地方と東北の人々は、私がまだ若かった頃、職業人としての自分を形成してくれました。AIUに着任して、この恩返しができることを光栄に思っています。
友人である皆さんに、スペイン語で言うところの “vaya con dios”...「神々があなたと共にありますように」。元気に、そして安全に過ごしてください。

※実際の挨拶は英語で行われていますが、ここでは要約して日本語訳を掲載しています。

カセム学長について、詳しくはこちらからご覧いただけます。