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国際共同研究紹介:インド西ガーツ地域における農業生物多様性にもとづくエコツーリズム(名取 洋司准教授)

本学国際教養学部グローバル・スタディズ領域の名取洋司准教授は、日本学術振興会外国人特別研究員のフィリップ・ヴァーギース博士と、持続可能な農業を基盤としたエコツーリズムに関する国際共同研究を行っています。本研究プロジェクトは、観光と生物多様性、その社会的影響について理解を深め、持続可能な開発に資することを目的としています。

共同研究の概要

持続可能な開発のためには、自然環境の保全と人間の暮らしを両立させなければなりません。この目標を達成するための手段として、持続可能な農業にもとづく「エコツーリズム」があります。
エコツーリズム:地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み(環境省ウェブサイトより)

本研究では、インドの西ガーツ地域(ケララ州ワヤナード)を事例として、農業にある生物多様性を維持する活動としてのエコツーリズムに注目し、現地で農家やホームステイを営む人、環境活動に取り組む人、地元のNGO、行政関係者などのステークホルダーへのインタビューを行っています。農業生物多様性を維持することは、持続可能な土地や自然資源の利用につながります。インタビュー結果の定性的な分析により、エコツーリズムが地域住民の生計を支え、伝統的な知識や慣習を再興し、自然とのバランスを保つ上で果たす役割を考察します。

このプロジェクトは、自然共生社会の実現を目指すSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)と連携しています。SATOYAMAイニシアティブの事例研究やレビュー、政策提言、ワークショップなどから得られる情報も参考にしながら、より多様な視点から本研究課題を捉えるべく取り組んでいます。

また、本研究は日本学術振興会による特別研究員奨励費の補助を受け、2022年12月から2025年3月までの期間で行われます。

インド・ケララ州ワヤナードでの現地調査の様子をご紹介します。

アレクノートヤシの木と胡椒のつるが点在するワヤナードのロブスタコーヒー農園
ワヤナード(Wayanad)は「水田の土地」の意

研究者紹介

フィリップ・ヴァーギース博士

2022年11月から日本学術振興会外国人特別研究員として本学に在籍。国連大学サステイナビリティ高等研究所(東京)の研究プログラム「生物多様性と社会(BDS)」にも様々な立場で携わっている。

名取 洋司准教授

本学国際教養学部グローバル・スタディズ領域の教員。サステナビリティ分野の科目を担当。国際自然保護連合(IUCN)日本委員会の副会長や一般社団法人コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの顧問も務める。